質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二二六号

内閣参質一八九第二二六号
  平成二十七年八月十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出切れ目のない安全保障法制の整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出切れ目のない安全保障法制の整備に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「日米安保条約が自動的かつ完全に機能することはないのではないか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、米国は、従来から、累次の機会に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第五条に規定する米国の対日防衛義務に対するコミットメントを確認してきており、我が国として、米国が当該義務を果たすことに信頼を置いている。
 なお、我が国として、米国の国内法について有権的な解釈を行う立場にないが、同条約の締結は米国においては米国議会によって承認されたものであり、同条に規定する米国の対日防衛義務を承認した同じ議会が、当該義務の履行を妨げるような措置をとることは考えられないと説明してきているところである。

二について

 お尋ねの「安全保障のジレンマ」について、確立した定義はないと承知しているが、一般的には、自国の安全を確保するために、一方の国が防衛力を増強することによって、他方の国の脅威認識を増大させ、その国も防衛力を増強することとなり、かえって前者の国の脅威認識が増大し、更なる防衛力の増強につながる場合があるという議論であると承知している。
 我が国として、このような状況となることを防ぐため、従来から自衛隊の人員、装備、予算等といった防衛力について、その透明性の確保に努めてきている。また、現在国会で審議中の我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(以下これらを合わせて「法律案」という。)は、国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない対応を行うために、自衛隊の活動分野を広げるものであるが、これにより自衛隊の人員、装備、予算等といった防衛力が増強されるものではない旨を国内外に対して説明しているところである。引き続き、周辺国に対し、法律案の内容を含め、我が国の安全保障政策について理解が得られるよう、説明を行っていく考えである。

三について

 今般の法律案は、特定の国や地域を念頭に置いたものではない。