質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七八号

内閣参質一八九第一七八号
  平成二十七年七月三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出徴兵制度を禁じた日本国憲法第十三条及び第十八条の解釈の変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出徴兵制度を禁じた日本国憲法第十三条及び第十八条の解釈の変更に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 政府としては、衆議院議員稲葉誠一君提出徴兵制問題に関する質問に対する答弁書(昭和五十五年八月十五日内閣衆質九二第四号)一及び二について等で累次にわたってお答えしているとおり、一般に、徴兵制度とは、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるものをいうと理解している。このような徴兵制度は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第十三条、第十八条などの規定の趣旨からみて、許容されるものではないと解してきている。
 政府は、従来から、憲法第九条は自衛のための必要最小限度の実力組織を保持することを禁止していないが、その要員を充足するための手段については規定していないと解しており、このような徴兵制度を違憲とする論拠の一つとして同条を引用することは考えていない。
 憲法の下でこのような徴兵制度が許容されるものでないことについては、憲法第十三条及び第十八条に加えて、憲法の基本的人権に関連する他の条文等も踏まえて判断しているところである。
 このような政府の考え方は、社会情勢等の変化によって変わるものではない。

五について

 お尋ねの「国防の義務」が何を指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。