質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七五号

内閣参質一八九第一七五号
  平成二十七年六月三十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員和田政宗君提出朝鮮戦争時における海上保安庁の特別掃海隊による機雷掃海活動に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員和田政宗君提出朝鮮戦争時における海上保安庁の特別掃海隊による機雷掃海活動に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、昭和二十九年三月二十七日の衆議院外務委員会において下田武三外務省条約局長(当時)が「日本は憲法違反をもつてこれを争い得ない地位にあつたわけであります。・・・連合国最高司令官の命令が、憲法を含むあらゆる日本の法律に優先しておつたわけであります。」と答弁し、また、平成三年四月十八日の参議院内閣委員会において大森政輔内閣法制局第一部長(当時)が「我が国が当時連合国の管理下にあったということでございまして、我が国としてはこの指令に従わざるを得ない法的状況にあったということであろうと思います。」と答弁したとおりである。

二について

 従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる「海外派兵」は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許容されないが、他国の領域における武力行動でいわゆる自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではないと考えてきており、この趣旨は、昭和三十一年二月二十九日の衆議院内閣委員会で示された政府の統一見解によって既に明らかにされているところである。このような考え方は、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件(以下「新三要件」という。)の下で行われる自衛の措置としての「武力の行使」にもそのまま当てはまるものと考えられる。従来から、外国による「武力の行使」の一環として敷設されている機雷を除去することは、「武力の行使」に該当し得るとしてきているが、新三要件に該当する場合の自衛の措置として行うのであれば、憲法上許容される。お尋ねの「他国の領域内における機雷掃海活動」については、その実態は、水中の危険物から民間船舶を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものであり、その性質上も、あくまでも受動的かつ限定的な行為であって、外国の領域で行うものであっても、必要最小限度のものとして、新三要件を満たすことはあり得る。
 なお、新三要件を満たす場合に例外的に外国の領域において行う「武力の行使」については、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに、現時点で個別具体的な活動を念頭には置いていない。