質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六五号

内閣参質一八九第一六五号
  平成二十七年六月二十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出自衛隊法第三条からの「直接侵略及び間接侵略に対し」の削除と専守防衛の関連に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出自衛隊法第三条からの「直接侵略及び間接侵略に対し」の削除と専守防衛の関連に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三条第一項の「直接侵略」とは、外部からの組織的、計画的な武力の行使により我が国に対して直接侵害がなされることをいい、同項の「間接侵略」とは、一又は二以上の外国の教唆又は干渉によって引き起こされた大規模な内乱又は騒擾であって、外国からの干渉が不正規軍の侵入のような形態をとり、我が国に対する外部からの武力攻撃に該当するものをいうと解してきている。
 現在、国会に提出している我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)においては、自衛隊法第三条第一項の「直接侵略及び間接侵略に対し」を削ることにより、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態における自衛隊の行動が自衛隊の主たる任務に含まれることを明らかにすることとしている。

三から五までについて

 「専守防衛」とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針である。改正法案の下においても、憲法第九条の下で許容される「武力の行使」は、あくまでも、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られており、我が国又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の発生が前提であり、また、他国を防衛すること自体を目的とするものではない。このように、「専守防衛」は、引き続き、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、政府として、我が国の防衛の基本的な方針である「専守防衛」を維持することに変わりはない。
 また、改正法案の内容や「専守防衛」を始めとする我が国の防衛の基本的な方針については、今後とも国内外の理解を得るように努めてまいりたい。