第189回国会(常会)
答弁書第一一六号 内閣参質一八九第一一六号 平成二十七年四月二十八日 内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生 太郎
参議院議長 山崎 正昭 殿 参議院議員福島みずほ君提出外国人家事労働者の受入れに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出外国人家事労働者の受入れに関する質問に対する答弁書 一について 今国会に提出している国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案による改正後の国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号。以下「新国家戦略特別区域法」という。)第十六条の三第一項に規定する国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業(以下単に「国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業」という。)においては、同条第三項に規定する指針に照らして必要な措置を講じていることその他の家事支援活動(同条第一項に規定する家事支援活動をいう。以下同じ。)を行う外国人の受入れを適正かつ確実に行うために必要なものとして同条第一項の政令で定める基準に適合する本邦の公私の機関(以下「特定機関」という。)が、年齢、家事の代行又は補助に関する職歴その他の同項の政令で定める要件を満たす外国人を雇用契約に基づいて受け入れることとしている。また、特定機関は、当該基準に適合する必要はあるが、新国家戦略特別区域法第二条第一項に規定する国家戦略特別区域ごとに定める必要はない。 二について 国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業においては、炊事、洗濯その他の家事を代行し、又は補助する業務で新国家戦略特別区域法第十六条の三第一項の政令で定めるものに従事する活動である家事支援活動を行う外国人を特定機関が雇用契約に基づいて受け入れることとしており、当該外国人には労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)が適用されるものと考えている。 また、国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業により受け入れた外国人は、特定機関と利用者との間の請負契約に基づいて家事支援活動を行うこととする方向で検討中である。 なお、厚生労働省においては、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和六十一年労働省告示第三十七号)等を記載したリーフレットを配布するとともに、必要に応じ労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)に基づく指導、助言及び勧告等を行ってきたところであり、今後ともこれらの取組を通じて、いわゆる偽装請負などの不適正な請負の発生防止及び是正を図ってまいりたい。 三について 御指摘の「企業に対する監督」については、労働基準監督機関において、労働基準関係法令違反の疑いがあると認められる企業に対して監督指導を実施し、違反が認められた場合には、その是正を求めるなど、厚生労働省として、適切に対処することとしている。 また、内閣総理大臣は、新国家戦略特別区域法第十六条の三第三項の規定に基づき、国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業に関して、受け入れる外国人に対する研修の実施及び情報の提供、関係行政機関との連携の確保その他のその適正かつ確実な実施を図るために特定機関が講ずべき措置を定めた指針(以下単に「指針」という。)を作成することとしており、当該指針に沿って国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業が実施されるよう適切に対応してまいりたい。 四について 指針の具体的な内容及びその策定手続については、今後、国会審議等を踏まえながら、検討してまいりたい。 五について 今国会に提出している出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案において創設することとしている在留資格「介護」をもって在留する外国人については、本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行うことを認めるものであるところ、当該活動が行われる場所は、介護施設その他の施設に限定されるものではないと考えており、また、当該活動を行うための契約の相手方である本邦の公私の機関を変更することは可能である。 なお、在留資格「介護」をもって在留する外国人が要介護者等の居宅を訪問し、介護を行う場合に安全確保等の観点から必要な措置については、今後、現に他の類似の活動を行っている在留外国人の状況等を踏まえつつ、その要否も含めて、検討してまいりたい。 六及び七について 国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業により受け入れた外国人については、指針において、制度の仕組みや労働関係法令についての情報提供、相談体制の整備等の必要な事項を定めることとしている。 介護分野を技能実習制度の対象とすることとした場合において介護を行う外国人や出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案において創設することとしている在留資格「介護」をもって在留する外国人についても、関係する制度の仕組みや労働関係法令についての情報提供、相談体制の整備、帰国旅費の確保、送出機関の役割等に関して必要な措置を、今後とも、それぞれの制度に即して検討してまいりたい。 八について 現時点においては、家事使用人に関して、労働基準法第百十六条第二項及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第四十四条第一項の規定を見直す予定はない。 また、国際労働機関(以下「ILO」という。)において採択されたILO第百八十九号条約については、国内法制等との整合性について検討すべき点があることから、その批准については、慎重な検討が必要であると考えている。 |