質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一五号

内閣参質一八九第一一五号
  平成二十七年四月二十八日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員吉田忠智君提出後方支援を行う自衛隊員に対する戦時国際法適用の有無に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉田忠智君提出後方支援を行う自衛隊員に対する戦時国際法適用の有無に関する質問に対する答弁書

 お尋ねは、戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約(昭和二十八年条約第二十三号、第二十四号、第二十五号及び第二十六号。以下「ジュネーヴ諸条約」という。)及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書I)(平成十六年条約第十二号。以下「第一追加議定書」という。)における捕虜に関する規定に関するものであると考えられるところ、ジュネーヴ諸条約のそれぞれの第二条第一項及び第二項の規定並びに第一追加議定書第一条3の規定により、ジュネーヴ諸条約及び第一追加議定書は、「二以上の締約国の間に生ずるすべての宣言された戦争又はその他の武力紛争の場合について、当該締約国の一が戦争状態を承認するとしないとを問わず」適用され、また、「一締約国の領域の一部又は全部が占領されたすべての場合について、その占領が武力抵抗を受けると受けないとを問わず」適用される。
 お尋ねの「自衛隊が海外で他国軍を後方支援する際に隊員が敵に拘束された場合」がどのような場合を想定しているのか必ずしも明らかではないことから一概にお答えすることは困難であるが、現在検討中の安全保障法制の整備においては、御指摘のような後方支援活動は、他国の「武力の行使」と一体化しないようにすることとしており、また、国際法上も、そのような活動を行うことによって我が国が武力紛争の当事国となることはなく、したがって、我が国がジュネーヴ諸条約及び第一追加議定書上の紛争当事国又は紛争当事者に該当するものではないから、そのような活動を行う自衛隊員がジュネーヴ諸条約及び第一追加議定書上の捕虜となる事態は想定されない。
 万が一、自衛隊員が外国等に不法に身柄を拘束された場合には、政府としては当該自衛隊員の即時解放を求め、解放されるまでの間は、その身柄は、少なくとも、普遍的に認められている人権に関する基準並びに国際人道法の原則及び精神に従って取り扱われるべきことは当然であると考えている。