質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一三号

内閣参質一八九第一一三号
  平成二十七年四月二十八日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員大久保勉君提出国債の繰上償還可能性についての券面記載事項に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出国債の繰上償還可能性についての券面記載事項に関する質問に対する答弁書

一について

 繰り上げて償還することがある旨の記載(以下「繰上償還条項」という。)が券面に付され、証券として市中に流通している国債について、①銘柄、②償還期限、③平成二十七年三月末時点の発行残高(額面金額の合計額)及び④同月末時点の時価の合計額をお示しすると、次のとおりである。
①利付国庫債券(二十年)(第三十一回) ②平成二十八年三月二十一日 ③二億円 ④約二億七百万円
①利付国庫債券(二十年)(第三十五回) ②平成二十九年三月二十日 ③二億八千万円 ④約二億九千八百万円
①利付国庫債券(二十年)(第四十一回) ②平成三十一年三月二十日 ③二千万円 ④約二千百万円

二について

 政府として、繰上償還を実施することがないことを明確にするため、国債規則(大正十一年大蔵省令第三十一号)第七条の規定に基づき、平成十年十二月二十二日に公布された大蔵省告示第五百五十四号により、国債証券の様式の要項を定める件の備考のひな形から、繰上償還条項を削除する改正を実施し、平成十一年一月以降に発行する国債の券面から繰上償還条項を削除するとともに、国債に関する法律(明治三十九年法律第三十四号)第一条第一項の規定に基づき、発行条件に繰上償還条項を付さないこととしたところである。ただし、当該告示改正前から、政府としては、国会答弁において、国債の繰上償還の実施は、国債保有者に不測の損害をもたらし、国債保有に対する安定性を著しく損なうことになりかねず、その結果、国債の発行条件の悪化をもたらし、ひいては国債消化に重大な支障を生ずるおそれがあることから、適当ではない旨繰り返し表明してきたところであり、平成十年十二月以前に発行された国債についても同様の考え方により繰上償還を実施することは適当ではないと考えている。

三について

 平成十年十二月以前に発行された、券面に繰上償還条項が記載された国債の取扱いに関しては、財務省ホームページ上に繰上償還は実施しない旨記載し、発行当局としての考え方を国民に対し広く周知することで、国債市場の透明性の確保を図っている。

四について

 国債の券面記載事項の変更のためには、当該券面を全て回収する必要があるが、券面に繰上償還条項が記載された国債に関しては、無記名債券として市中に流通し、所有者の特定が難しい状態であり、券面記載事項の変更は困難である。