質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第五三号

内閣参質一八九第五三号
  平成二十七年三月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員川田龍平君提出福島第一原発の十一万倍ものトリチウムが六ヶ所再処理工場から海洋へ放出されたことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出福島第一原発の十一万倍ものトリチウムが六ヶ所再処理工場から海洋へ放出されたことに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「東電放出協定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)の再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理施設」という。)からの放射性液体廃棄物に含まれるトリチウムの濃度は、海洋に放出される前の濃度であり、一方、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所において、地下水バイパスにより、海洋に放出されている地下水に含まれるトリチウムの濃度は、建屋の山側の高台でくみ上げた、建屋に流入する前の地下水のトリチウム濃度であることから、これらの濃度を単純に比較することは適切ではないと考えている。

二について

 御指摘の六ヶ所再処理施設における放射性液体廃棄物に含まれるトリチウムの濃度は、海洋に放出される前の濃度であり、一方、御指摘の「原発からの放射性物資の放出濃度に係る規制値」は、原子力発電施設内において希釈等を行った後の周辺監視区域外における濃度であることから、これらの濃度を単純に比較することは適切ではないと考えている。

三から五まで及び七について

 原子力発電施設並びに再処理設備及びその附属施設(以下「再処理施設」という。)から放出される放射性物質については、国際放射線防護委員会の勧告を踏まえ、原子力発電施設及び再処理施設の周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間一ミリシーベルト以下となるように放射能濃度等の限度を定めており、その上で、施設からの放出形態や核種の種類に応じた規制を行っている。施設からの放出形態に応じた規制としては、例えば、再処理施設について、液体の放射性廃棄物が海洋放出施設から放出されることを踏まえ、海産物の摂取等も含めた一般公衆の被ばく線量の限度を定めており、また、再処理事業者に対し、海洋放出施設の放出口周辺の海域の海水、海底土、海産生物、漁具等に係る放射性物質の濃度等を三月ごとに記録し、国に報告する義務を課している。

六について

 日本原燃は、六ヶ所再処理施設の建設に当たって、地域環境等への影響等における調査を実施し、その報告書を青森県に提出していると聞いている。

八について

 御指摘の「東電放出協定」や「放出濃度に係る協定」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、日本原燃と漁業者の協定については、両者の間において判断されるものと考えている。