質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三三号

内閣参質一八九第三三号
  平成二十七年二月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員中西健治君提出シリア渡航を表明する邦人に対する旅券返納命令に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出シリア渡航を表明する邦人に対する旅券返納命令に関する質問に対する答弁書

一について

 外務省としては、シリアにおいていわゆるISILが二名の邦人を殺害し、引き続き邦人を殺害する意図を宣言するという特殊な状況において、邦人がシリアに渡航すれば生命に直ちに危険が及ぶ可能性が高いと判断されることに鑑み、渡航の意思を報道機関を通じても明らかにしていた御指摘の邦人に対し、警察と連携し、シリアへ渡航しないよう説得したが、同人はその意思を変えるには至らなかった。
 このため、外務大臣は、旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第十九条第一項第四号の規定に基づき、同人に旅券を返納させる必要があると判断し、その返納を命じたものである。

二について

 外務省においては、平成二十七年二月七日、御指摘の邦人がシリア渡航の意思を変えるには至らなかったことを直前までの本人とのやり取りにおいて確認の上、同日午後七時三十分頃に、旅券の返納期限を同日午後七時四十分と定めた。

三について

 外務省としては、旅券法第十九条第一項第四号の規定に基づく旅券返納命令に当たっては、原則として、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項第一号の規定に基づき聴聞を行うことが必要と考える。

四について

 外務省としては、今般の事案は、緊急な措置を要するものであり、行政手続法第十三条第二項第一号の規定に該当するものと判断し、聴聞を行わなかったものである。

五について

 政府としては、報道の自由を十分に尊重する必要があると考えている一方で、海外に渡航する邦人や海外に在留する邦人の安全を確保することも政府の極めて重要な役割であると考えている。旅券法第十九条第一項の規定に基づく旅券返納命令については、個別具体的な事案に応じて判断する必要があると考えている。