質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三二号

内閣参質一八九第三二号
  平成二十七年二月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員大久保勉君提出日本のタックス・ギャップの推計に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出日本のタックス・ギャップの推計に関する質問に対する答弁書

一について

 米国の内国歳入庁が、一課税年度において税法により課されるべき税額の総計のうち、自発的に、かつ期限内に納付されなかった金額について、「タックス・ギャップ」と定義した上で、無作為に抽出した二千六年分の個人所得税の約一万三千件の確定申告書に係る調査等を基に推計し、「Federal Tax Compliance Research: Tax Year 2006 Tax Gap Estimation」(二千十二年三月)等において公表していることは承知している。また、英国の歳入関税庁においても、「Measuring tax gaps 2014 edition」(二千十四年十月)において、本来納付されるべき税額と実際の納税額の差額を「タックス・ギャップ」と定義していると承知している。
 政府としては、こうした意味での「タックス・ギャップ」の推計を行っておらず、また、現時点では、行う考えはない。
 その理由は、個々の納税者について課税要件事実や適用される税法の規定がそれぞれ異なっていることから、税法により課されるべき税額の総計について正確に捉えた推計を行うことは困難であること、米国の内国歳入庁や英国の歳入関税庁のように、課税上問題があると認められない者も含め、無作為に抽出した多数の納税者に対して「タックス・ギャップ」を推計する目的で調査等を行うことについては、そのコストや調査を受ける納税者の負担にも配慮する必要があること等である。

二及び三について

 御指摘の論文はあくまでも執筆者の個人的見解であり、政府として見解を述べることは差し控えたいが、米国や英国における「タックス・ギャップ」の推計に係る取組については一についてで述べたとおりであり、また、政府として、現時点では、「タックス・ギャップ」の推計を行う考えはない。

四について

 平成二十七年度予算において、「タックス・ギャップ」の推計を行うための経費に係る項目は計上されていない。また、「平成二十七年度税制改正の大綱」(平成二十七年一月十四日閣議決定)において、「タックス・ギャップ」に関連する記載はない。