質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質一八九第二九号
  平成二十七年二月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員糸数慶子君提出名護市辺野古における沖縄防衛局による仮設桟橋設置工事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出名護市辺野古における沖縄防衛局による仮設桟橋設置工事に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねのうち①については、「仮設桟橋は、普天間飛行場代替施設建設事業における代替施設本体の設計に必要な地質データを取得、確認するための海上ボーリング調査において、関連する船舶の係留及び資機材の積み卸し等を目的として設置するものであり、代替施設建設事業そのものの作業に使用することはありません。また、仮設桟橋の規模は、岩礁破砕等の許可を受けた範囲内で適切に設定しており、その標準断面は別図に示すとおりです。なお、設計に当たり、波浪に対しての安定を確認しています。」旨の回答をし、別図として、海底面に根固め用袋材を敷設し、その上に港湾築堤マットを設置し、その後、樹脂製敷板を敷設し、樹脂製敷板端部を根固め用袋材で固定する模様を描いた標準断面図を添付している。
 お尋ねのうち②については、「仮設桟橋は、陸側からクローラクレーン等を用いて栗石を詰めた根固め用袋材や港湾築堤マットを設置した後に樹脂製の敷板を敷設する手順で施工します。また、撤去については、クローラクレーン等を用いる予定です。また、仮設桟橋は、平成二十七年二月以降に海上での作業に着手し、所要の海上ボーリング調査を終えた段階で撤去する予定です。なお、具体的な日程については、これを明らかにした場合、作業を安全に実施できなくなる可能性があることから、お答えを差し控えます。」旨の回答をしている。
 お尋ねのうち③については、「仮設桟橋の設置及び撤去に当たっては、主に以下の環境保全対策を有識者の助言を得つつ検討したところであり、一部については既に実施しています。(1)配置計画に当たっては、被度五%以上のサンゴ類の分布域を避ける。(2)施工に先立ち、施工区域に重要な動物種及び植物種が生息・生育する場合は、適切な場所に移動・移植するほか、消失することとなる重要な地形及び地質についても記録保存を行う。(3)施工に当たっては、ジュゴンの採餌やウミガメ類の上陸・産卵を考慮し、作業時間を日の出一時間程度後から日没一時間程度前までの間とする。また、ジュゴンの生息位置を監視船等で確認し、工事区域周辺で確認された場合は工事を一時中断するほか、ウミガメ類の上陸痕を確認し、産卵巣が確認された場合には、その保護のため周囲をフェンスで囲む。さらに、底質が極力攪乱しないように慎重に作業を行う。」旨の回答をしている。
 また、御指摘の「仮設桟橋」については、便宜上「仮設桟橋」との呼称を用いているところであるが、御指摘の平成二十六年七月十一日付け文書「岩礁破砕等許可申請書」に記載した工事内容と比較すると、一部の施工を取りやめるほか、施工方法について、直接海底に「割栗石」を投入しないこととするなどの変更を行っている。

三について

 御指摘の「仮設桟橋」については、普天間飛行場代替施設建設事業(以下「本件事業」という。)における代替施設本体の設計に必要な海底の地質データを取得、確認するためのボーリング地質調査(以下「本件ボーリング調査」という。)のための仮設物であって、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)及び沖縄県環境影響評価条例(平成十二年沖縄県条例第七十七号)に定める環境影響評価の対象事業に該当しないため、これらに基づく手続は行っていない。

四から六までについて

 御指摘の「十年前の海底ボーリング調査」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、御指摘の「仮設桟橋」については、本件ボーリング調査に関連する船舶の係留及び資機材の積卸し等を目的に、それに必要な規模で設置するものであるが、本件事業そのものの作業に使用することはない。
 また、今後の作業の内容やスケジュールについては、これを明らかにした場合、作業を安全に実施できなくなるなど、本件事業の適正な遂行に支障が生じる可能性があることから答弁を差し控える。
 御指摘の「割栗石の投入方法」については、より確実な撤去が可能な方法を不断に検討し、平成二十七年一月三十日に「クローラクレーンによる割栗石の投入」に代えて「根固め用袋材」を用いることとしたところであり、「港湾築堤マット」共々確実かつ適切に撤去することができると考えているが、これに伴う御指摘の「仮設桟橋」の設計変更については、沖縄県から、岩礁破砕等の許可の範囲内での変更であり、改めて許可を受ける必要はない旨の見解が示されている。

七について

 御指摘の「コンクリート殻」については、再生路盤材として利用する計画としており、お尋ねのように「石材として海に投入」したり、「埋立材料として使用」したりする予定はない。

八について

 お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいが、いずれにしても、本件事業については、平成二十五年十二月二十七日に公有水面の埋立てについて公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第四十二条第一項の規定に基づく沖縄県知事の承認を受けるなど、適正に手続を行ってきており、御指摘の「仮設桟橋」については、必要な準備が整い次第、作業に着手することとしている。

九について

 お尋ねのうち①については、「大浦湾内におけるいわゆるフロートを伴う浮標のアンカーは、工事の施行区域に沿って三十七箇所、同施行区域内において三十八箇所設置する」こととしている旨の回答をしている。その内訳としては、工事の施行区域沿いについては、方形のコンクリート製のものと方形の鋼製のものを合計で三十七か所に設置することとしており、方形のコンクリート製のものには、十トンのもの(縦二・一五メートル、横二・一五メートル、高さ〇・九五メートル)、十五トンのもの(縦二・四メートル、横二・四メートル、高さ一・二メートル)、二十トンのもの(縦二・七メートル、横二・七メートル、高さ一・三メートル)及び四十五トンのもの(縦三・五メートル、横三・五メートル、高さ一・六メートル)があり、方形の鋼製のものは、〇・七五トンのもの(縦〇・六メートル、横〇・六メートル、高さ〇・二六メートル)を三個一組で設置することとしている旨の回答をしている。また、工事の施行区域内については、方形の鋼製のものを合計で三十八か所に設置することとしており、これには、〇・四八トンのもの(縦〇・五メートル、横〇・五メートル、高さ〇・二六メートル)、〇・七五トンのもの(縦〇・六メートル、横〇・六メートル、高さ〇・二六メートル)、〇・八七トンのもの(縦〇・六メートル、横〇・六メートル、高さ〇・三一メートル)及び三個一組で設置することとしている一個あたり〇・七五トンのもの(縦〇・六メートル、横〇・六メートル、高さ〇・二六メートル)がある旨の回答をしている。
 お尋ねのうち②については、「上記アンカーについては、約三十mから約四百mの間隔で設置することとしており、その設置場所の選定に当たっては、サンゴ類の生息場所を避けるため、サンゴ類の生息状況をあらかじめ調査の上で決定しています。また、アンカーの設置及び撤去に当たっては、起重機船や小型作業船等を使用することとしています。」、「荒天時における対応については、気象、海象等の状況を踏まえて具体的な内容を決定することから、一概にお答えすることは困難ですが、いずれにしても、荒天等による被害が生じないよう適切に対処します。」及び「当局から、浮標に係る手続きの必要性について確認したところ、貴県からは、他の事例を踏まえれば、浮標の設置が手続きの対象とならない旨が示されたところです。」旨の回答をしている。

十について

 お尋ねの「アンカー」を含む浮標の設置については、沖縄県知事が定める沖縄県漁業調整規則(昭和四十七年沖縄県規則第百四十三号)等に基づく手続の必要性について沖縄県に確認しており、同県からは、他の事例を踏まえれば、浮標の設置が同手続の対象とはならない旨示されており、政府としては、今後とも適正に所要の作業を進めることとしている。