質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三四七号

我が国の航空政策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   我が国の航空政策に関する質問主意書

 アジア等の世界経済の成長を取り込み日本経済の一層の発展を図るには、日本の航空産業の国際競争力を上げる必要がある。国際民間航空機関(ICAO)の推計でも、航空交通輸送量は今後アジア・太平洋地域を中心に増加する見込みであり、平成三十七年には世界最大の航空市場に成長するとされている。しかしながら、日本の航空産業を取り巻く事業環境は、必ずしも国際競争力の向上という趣旨に沿うものとは言えない。この問題意識を背景に、我が国の航空政策について、以下の通り質問する。

一 日本の航空産業の競争力向上の障害となっている、日本の航空サービスのコスト高の原因としては、日本の空港の着陸料の高さがまず挙げられる。その他にも、国内線においてのみ課されている「航空機燃料税」については、日本の航空会社と外国の航空会社との公平な競争を阻害していると指摘される。そもそも航空機燃料税は、空港の整備・拡充を目的として制度化されたものであるが、国内空港のネットワークは慨成していると言われており、既に役割を終えていると考える。それらの理由から、航空機燃料税については見直しを行うべきであると考えるが、政府の見解如何。

二 航空輸送の活性化に際しては、航空会社が自らの効率化を図るだけではなく、適切な空港インフラが整備されていることが条件となる。

1 とりわけ、首都圏空港の混雑緩和が重要である。首都圏空港の混雑緩和については、今の需要の伸びも勘案して、容量(発着枠)の拡大が第一義的に行われるべきと考えるが、そのための具体策について政府はどのような方針を持っているか。
 また、羽田空港でも深夜早朝帯については、発着枠にまだ余裕はあるが、時間帯的に鉄道を始めとする公共交通機関によるアクセスが十分に整備されていないため、現状では需要が喚起されていない。深夜早朝帯の発着枠を十全に活用するために、羽田空港へのアクセスの二十四時間化を検討するべきとの指摘があるが、政府の見解如何。
2 平成三十二年の東京五輪開催に向けて外国人観光客の誘致を促す取組が進められているが、観光客誘致による経済効果を全国に波及させるためにも地方空港の強化が必要である。そのためには、補助金の供与、着陸料の軽減、そしてCIQ(税関、出入国審査、検疫)体制の拡充を検討すべきと考えるが、地方空港の強化に関する政府の方針と具体策を明らかにされたい。

三 航空機を運航するには、パイロット、整備士、客室乗務員、航空管制官など、様々な専門職種の協力が必要となるが、近年、それらの人材の枯渇が懸念されている。例えばパイロットについては、今後二十年の間に大量の定年退職者が発生することや世界的な航空需要の高まりなどを背景に、将来的な不足が見込まれている。
 このような状況に対しては、安全の維持という航空輸送の本来の使命を認識した人材をどのように育成していくのかについて検討を深める必要があると考えるが、航空産業の人材不足という問題について、政府はどのような問題意識を持ち、かつどのような対応方針を考えているのか、明らかにされたい。

  右質問する。