質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三三五号

株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険の限度額引上げに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険の限度額引上げに関する質問主意書

 日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険は本年六月に東京証券取引所への上場を申請し、報道によれば、十一月に上場が実現する見通しとのことである。このような中、日本郵政グループ各社が収益力を強化し、企業価値を向上させることは喫緊の課題である。
 株式会社ゆうちょ銀行の預入限度額及び株式会社かんぽ生命保険の加入限度額の水準については、郵政民営化法第百七条及び第百三十七条の規定に基づき、他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険(以下「金融二社」という。)の経営状況等を勘案して政令で定めることとされている。
 現在の株式会社ゆうちょ銀行の預入限度額は、平成三年以降二十三年間にわたり、一千万円とされているが、国民・利用者からは、「預金先の分散を避けるために限度額の無い郵便局以外の金融機関を選択せざるを得ない」、「限度額を超えた分を預けるために遠方の銀行まで足を運ばざるを得ない」、「年金受取機関に郵便局を指定しようとしても限度額オーバーになる」等の不便さを訴える声があり、特に退職者や高齢者、郵便局以外に他の金融機関が無い地域の利用者にとって著しく利便性を欠く限度額水準となっている。
 また、株式会社かんぽ生命保険の加入限度額は、昭和六十一年に基本契約一千万円に加入後四年以上経過した場合に三百万円の上乗せが可能となり、一千三百万円となって以来、二十八年間据え置かれている。しかし、この水準では万一の場合の本人や遺族の保障をするためには、必ずしも十分な金額とは言えない。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 貯金が限度額に達し、新たにゆうちょ銀行に貯金をすることができない利用者は何人いるのか、その総数、年齢階層別人数及び都市規模別人数について示されたい。

二 金融・経済状況が激しく変化する中、二十年以上の長きにわたって据え置かれている預入限度額及び加入限度額の現行水準について、政府は、これを適正な水準と考えているか、見解を示されたい。

三 政府は、平成二十七年七月九日に郵政民営化委員会に対して「今後の郵政民営化の推進の在り方の調査審議について」を要請したが、この調査審議の対象には、金融二社の限度額の水準についても含まれているのか、明らかにされたい。また、調査審議の結論を得る時期を明確に示されたい。

四 限度額の水準については、平成二十四年四月十一日の衆議院郵政改革に関する特別委員会及び同月二十六日の参議院総務委員会における「郵政民営化法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において、「本法の施行により直ちに勘案すべき事情が変わるわけではないことから、当面は引き上げないこと」とされている。しかしながら、この附帯決議は、あくまで見直し法の施行による影響に関して、限度額の引上げをする必要はないとしたもので、その他の事情変化による引上げを否定したものではないと考える。郵政グループ三社の株式の上場、消費税率の引上げ、郵政グループの経営状況とユニバーサルサービスの維持コスト等様々な社会・経済情勢の変化に対応して、限度額についても見直しを検討すべきと考えるが、当該附帯決議及び限度額引上げに対する政府の見解を示されたい。

五 郵政民営化法第百四条及び第百三十四条の規定によれば、限度額規制が解除されるのは、(一)日本郵政株式会社が金融二社の株式を全株処分した日、(二)日本郵政株式会社が金融二社の株式の二分の一以上を処分した場合に、内閣総理大臣(金融庁長官に権限を委任)及び総務大臣が限度額等の特例規定を適用しなくても、他の金融機関等との適正な競争関係等を阻害しないと認める旨の決定をした日のうち、いずれか早い日とされている。
 日本郵政株式会社は、平成二十六年十二月二十六日、金融二社の今後の株式の売却については、郵政民営化法の趣旨に沿って、まずは、保有割合が五十%程度となるまで段階的に売却していく旨を発表していることから、今後、金融二社の株式が五十%以上売却された際には、政府は上記(二)の決定を速やかに行うべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。