質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三三三号

トラック運送における安全確保策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   トラック運送における安全確保策に関する質問主意書

 トラックドライバーの就労については、労働基準法に加えて、厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準告示」という。)の遵守が求められる。この改善基準告示では、基本的には四時間運転すると三十分以上の休憩を取ること等が定められている。しかしながら、高速自動車道のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)内の大型車の駐車スペースが絶対数不足で駐車困難となっている。そのため、特に夕方から夜間にかけて、ドライバーは十分な休息が取れずに改善基準告示のルールを遵守できていない。同告示の遵守状況は、厚生労働省が監査・監督を行った事業場のうち六十五・六%の事業所で何らかの違反があるなど、長年にわたり大きな改善がみられない。結果として、トラック運送の安全性までが脅かされる結果となっている。
 この問題意識を前提に以下質問する。

一 ドライバーの労働環境改善及び法令遵守、また安全確保のためにも、高速道路はもちろん、一般道も含め、休憩スペースが不足している現状は早急に改善されなければならないと考える。社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会の「高速道路を中心とした「道路を賢く使う取組」の基本方針」(平成二十七年一月二十七日)においても、高速道路の使いやすさを向上するための取組として、「高速道路の休憩施設・ガソリンスタンド等について、(中略)一定のサービス水準の確保を図る必要がある」とされている。
 この重要な問題について、政府はどのような問題意識を持ち、どのような対策を検討しているのか、明らかにされたい。

二 多くの長距離トラックが通行する高速道路の本線上での情報掲示に、SA・PAのリアルタイムな混雑情報に加え、大型車両の空駐車スペース箇所数に関する情報提供を行えないか。このような積極的に空きスペースに大型車両を誘導できるような情報提供を行えるシステム整備を図れば、SA・PAの有効活用が図られるのではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 高速道路の通行料金は、一定距離以上を連続して利用した場合に料金の割引を行う「長距離逓減制」を適用している。このため、一旦高速道路を出た場合、長距離逓減が途絶えてしまい、最初の走行と乗継後の走行の通行料金の合計額が、直通の通行料金よりも割高になってしまう場合がある。そのため、渋滞や通行止めがあった場合にも、高速道路から降りる車両が少なく、結果として渋滞緩和の遅延、ひいては経済的な損失が発生することになっている。
 また、高速道路のインターチェンジ付近や沿道に所在するトラックステーションやコンビニエンスストア等の駐車施設は、SA・PAの代替としての活用が可能である。そのような意味で、前記一における休憩スペース不足の解決の一助になると評価し得る。しかしながら、高速道路から一旦出ることで「長距離逓減制」による割引を打ち切られることが、周辺駐車施設利用のネックとなっている。したがって、渋滞時の機動的な利用及び高速道路外の駐車施設の利用促進のため、一定時間内等の条件を付けた上で、離脱前後の高速道路の利用距離を通算し、長距離逓減割引が継続されるような料金施策を実施するべきと考えるが、この提言に対する政府の見解を明らかにされたい。

四 我が国の道路運送において大きな割合を占めるトラック等事業用自動車の安全対策は、我が国の道路運送全体の安全確保にとって大きな要素となっている。それゆえ、国土交通省が推進する「事業用自動車総合安全プラン二〇〇九」の人身事故件数及び死者数の目標値の達成は非常に重要であり、それを達成するためには、交通安全対策のための設備投資が不可欠である。
 このような交通安全対策を推進するため、衝突被害軽減ブレーキをはじめとしたASV(先進安全自動車)関連機器の導入に対する補助や、トラック事業者における効率的な運行管理を支援するとともに事故防止対策としても非常に有効である運行記録計及びドライブレコーダ等の運行管理支援機器の導入に対する補助を、継続かつ増額すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。