質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三一四号

本年八月二十六日に行われた日米首脳電話会談における米国による日本国内の通信傍受についての実態調査依頼等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月二十四日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   本年八月二十六日に行われた日米首脳電話会談における米国による日本国内の通信傍受についての実態調査依頼等に関する質問主意書

 第百八十九回国会で成立した安全保障関連法では、日本の安全保障の前提に日米間の揺るぎない相互の信頼関係が置かれている。これは米国が、主権国家であり民主主義に基づく法治国家である日本を尊重し信頼することを意味している。しかしながら、極めて遺憾なことに、米国が長年にわたり、同盟国である日本の政府中枢等に対する通信の傍受など、日本の国内法に違反すると疑うに十分な行為を行ってきたことが、米国の情報機関である中央情報局(CIA)及び国家安全保障局(NSA)の元局員エドワード・スノーデン氏の内部文書などで次々に明らかになってきている。
 これは安全保障関連法が前提としている日米同盟が、そもそも相互信頼に基づいたものではなく、もっぱら米国の国益にのみ寄与するものになっているのではないかという疑いを抱かせるに十分な事態であるとも考えられる。既に、ドイツやブラジルなどでは政府レベルでこうした米国による同盟国への違法な諜報活動について具体的な対応を採るなどの毅然たる対応が示されてきているところである。しかるに、日本政府は、これまでほとんど実効性のある対応を行っていないようにも見受けられる。
 よって、以下のように質問する。なお、質問の趣旨が分かりかねるので答弁できない、という回答は厳に慎んでいただきたく要請する次第である。

一 本年七月三十一日、内部告発サイト「ウィキリークス」は、NSAが二〇〇六年の第一次安倍政権のころから日本政府や日本企業を対象に盗聴を行っていたと発表し、NSAが盗聴の対象にしていたとする、日本政府や日本銀行の幹部の自宅や職場、より具体的には、菅内閣官房長官と黒田日本銀行総裁、それに経済産業省などの省庁の電話番号のリストを、番号の一部を伏せた形でホームページ上に公開した。
 さらに、盗聴の結果を基にNSAが作成したとされる、日米の通商交渉や日本の地球温暖化対策に関する文書などを公表している。このウィキリークスの暴露に関連して、政府は、事実であると判断しているのか。また、技術的には可能であると認識しているか。もし、事実ではない、あるいは不明であるというのであれば、その理由は何か。

二 もし、盗聴が事実とすれば、重大な問題と考えるかどうか。

三 日本政府が米国に対して法的な対抗措置を採らない理由は何か。

四 本年八月十五日付けのニューヨークタイムズなどで公表されたNSAの内部文書にはNTTコミュニケーションズの新丸山局がNSAの傍受に用いられていたこと、具体的にはベライゾン社などが協力企業として太平洋側の海底ケーブルを傍受し、東日本大震災で傍受が五か月中断したことなどが示されているが、政府はこれらについて調査しているのか。

五 NSAの内部文書には多くの米国企業が協力企業として具体的にその名前が挙がっている。既に二年前、二〇一三年六月七日付けのワシントンポストの記事では、マイクロソフト、グーグル、アップル、ヤフー、フェイスブック、スカイプ、ユーチューブ、パルトーク、AOL社の中央サーバーに米国NSAが直接入り込んで盗聴を行い続けていることが明らかになった、とされる。
 加えて、前述のように本年八月にはAT&T社やベライゾン社もNSA協力企業であるとも報じられている。このような記事や内部文書が暴露されて以降、日本政府としては、具体的な対策を採っているのか。また、これらの企業が日本政府などによる通信関連事業における入札などで落札したケースはどれだけあるのか。

六 前記五に関して、今後、こうした支援企業と日本の政府機関等との関わりを見直すつもりがあるのか。特に、日本政府及び関係省庁内において、もし、マイクロソフト社のOSやソフト等を使用している場合、「安全」だと確認できるのか。また、その場合、確認の方法はどのように行っているのか。
 ちなみに、事件発覚後、ドイツ政府はNSA監視活動への懸念のためにベライゾン社との契約を打ち切ったが、日本政府は何らかの対策措置を採っているのか。

七 本年八月二十六日に行われた日米首脳電話会談で、オバマ大統領はNSAの盗聴を謝罪した。安倍内閣総理大臣は米国に調査を依頼したと報じられているが、具体的に何の調査を依頼したのか。また、この調査をオバマ大統領は実行すると約束したのかしなかったのか、明らかにされたい。

  右質問する。