質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇一号

存立危機事態と集団安全保障との関係に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月十七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   存立危機事態と集団安全保障との関係に関する再質問主意書

 集団安全保障と憲法との関係について、従来、政府は「我が国の憲法第九条は、国際紛争を解決する手段としての戦争あるいは武力による威嚇、武力の行使を我が国の行為として行うことを禁じているものでございます。それで、国連の決議に従って我が国が武力の行使を行うという場合でありましても、我が国の行為であることには変わりがございませんので、このような行為は憲法九条において禁じられるというふうに考えているわけでございます。それから、集団的安全保障措置に関しましても、これは国際紛争を解決する手段であるということには変わりないのでございますから、このような措置のうち、武力の行使等に当たる行為につきましては、我が国としてこれを行うことが許されないというふうに考えているわけでございます。」(平成十年五月十四日の衆議院安全保障委員会における秋山内閣法制局第一部長答弁。以下「本件答弁」という。)との見解を示している。
 他方、本年九月十五日付の私の「存立危機事態と集団安全保障との関係に関する質問主意書」に対する答弁書(内閣参質一八九第二七六号。以下「前回答弁書」という。)では、「我が国が「武力の行使」を行う場合の国際法上の根拠が個別的自衛権若しくは集団的自衛権の行使又は国連安保理決議に基づくいわゆる集団安全保障の措置のいずれになるのかは、個別具体的な状況に即して判断されるものであり、一概にお答えすることは困難である」として、我が国が「武力の行使」を行う根拠として集団安全保障措置があることを示している。
 そこで以下、質問する。

一 本件答弁は、集団的安全保障措置による武力の行使は認められないとしているが、前回答弁書では、我が国が「武力の行使」を行う根拠として集団安全保障措置があり得るとしているのであるから、明らかに矛盾すると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 前記一について、政府の見解が変更されたとすれば、これは憲法解釈の変更と考えてよいのか。

三 国連憲章第四十二条及び第四十三条に規定するいわゆる国連軍への参加について、従来、政府は「いわゆる「国連軍」は、個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。これに対し、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないわけではない」との見解を示している。
 他方、前回答弁書では、我が国が「武力の行使」を行う根拠として集団安全保障措置があり得るとしているが、それであれば、いわゆる国連軍にも法理上、参加することが可能になるのではないか。政府の見解を示されたい。

四 我が国は、法理上、国連安保理決議の授権に基づき活動を行ういわゆる多国籍軍への参加も可能となるのか。

五 武力行使の新三要件を満たす場合、当初から、国際法上の根拠が集団安全保障措置の場合であっても、我が国は武力行使を行うことは可能ということでよいのか。前回答弁書では明確でなかったため、改めて示されたい。

  右質問する。