第189回国会(常会)
質問第二九七号 明治大学法科大学院青柳幸一教授による司法試験問題漏洩に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十七年九月十七日 前川 清成
参議院議長 山崎 正昭 殿 明治大学法科大学院青柳幸一教授による司法試験問題漏洩に関する質問主意書 公正であるべき司法において、その担い手を選抜する司法試験に際して、こともあろうか、平成十九年、慶應義塾大学法科大学院植村栄治教授に続いて、またしても、司法試験考査委員が自らの教え子に問題のみならず解答さえ漏洩する事件が発覚し、司法試験及び司法に対する国民の信頼は大きく傷ついてしまった。 ところが、平成二十七年九月十日、参議院法務委員会における上川法務大臣の答弁は、本件に関して、「ただいま捜査の段階であるということでございますので、お答えは差し控えさせて頂きたい」、「個人のプライバシーに関わることということでございまして、お答えにつきましては現段階では差し控えさせて頂きたいと存じます。」を繰り返すばかりで、何も答えようとしない。その結果、委員会は四回にわたって中断してしまい、上川法務大臣及び政府が今般の事件を真摯に受け止めているか疑義を抱かざるを得ない。 そこで、司法試験及び司法の信頼を取り戻し、三度、同種の事件が発生しないために、以下のとおり質問する。 一 独立行政法人大学入試センターが実施する大学入試センター試験(以下、「センター試験」という。)の問題は、誰が、どのように作成しているか。 二 センター試験の問題作成に、講師等大学受験予備校(以下、「予備校」という。)の関係者は関与しているか。 三 予備校に通う者の殆どが大学入試を受けるように、法科大学院に通う者は司法試験を受験する。したがって、司法試験の問題を法科大学院の教員が作成することは、センター試験の問題を予備校講師が作成するようなものではないか。 四 三に述べた意味において、法科大学院の教員が司法試験考査委員を兼ねることは「構造カンニング」とでも言うべき状態である。それにもかかわらず、慶應義塾大学法科大学院植村教授によるカンニング事件発覚後も法科大学院の教員を司法試験考査委員に任命し続ける理由は何か。 五 再び、慶應義塾大学法科大学院の植村教授事件、明治大学法科大学院の青柳教授事件を引き起こさないために、法科大学院の教員を司法試験考査委員に任命しないこととすればいかがか。 何か不都合はあるのか。 六 捜査中を理由に国会答弁を拒否する法律上の根拠を明らかにされたい。 七 プライバシーに関わることを理由に国会答弁を拒否する法律上の根拠を明らかにされたい。 八 前記委員会質疑において、上川法務大臣が述べた、平成二十一年三月三十日に司法試験委員会が決定したところの「処分基準」とはいかなるものか。 全文を示されたい。 九 青柳教授から司法試験問題を教示された受験生(以下、司法試験委員会に倣い、「A」という。)は、八の基準に照らすと、いかなる当てはめとなったか。 十 上川法務大臣は、九の当てはめの結果、Aは四年以上の受験禁止処分に該当すると答弁している。 しかるに、Aに関して五年間の受験禁止処分が課されたのは、他にいかなる事情を斟酌したからか。 右質問する。 |