質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二八九号

子宮頸がん予防ワクチンによる健康被害の救済に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   子宮頸がん予防ワクチンによる健康被害の救済に関する質問主意書

 二〇一三年四月から予防接種法に基づく定期接種となった子宮頸がん予防ワクチンについては、その接種後に全身の痛みやしびれを訴える報告が相次いだ。同ワクチンは、厚生労働省によると、これまで約三百三十八万人が接種し、うち約二千六百人が全身のしびれなどの副作用を訴えている。予防接種によって健康被害が起きた場合、入院費などを補償する国の救済制度がある。任意接種の場合は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、定期接種は厚生労働省が給付主体になる。しかしながら、任意接種に関しては九十八件の申請があったがそのうち七十一件が審査中となっており、定期接種では十五件の申請があったが、一件も結論が出ておらず救済された例はない。

一 前述のように審査は塩漬けの状態になっており、子宮頸がん予防ワクチン接種後の健康被害に対する国の救済手続が事実上機能していない現状について、政府はどのような認識を持っているか。また、被害救済のためにも、審査の迅速化に努めるべきと考えるが、政府の見解は如何か。

二 国の被害救済の停滞を受け、神奈川県や横浜市を始め、地方自治体が独自に医療費を支給したり、大規模な健康調査に乗り出したりする動きが広がっている。しかしながら、定期接種化という国が勧めたワクチン接種による被害が生じていることから、救済については地方自治体任せにするべきではなく、全国統一的な救済策を打ち出すべきである。
 まず、子宮頸がん予防ワクチン接種と健康被害の因果関係の証明が、被害救済の障害となっている現状がある。健康被害を幅広く補償するのが救済制度の趣旨であるので、特に子宮頸がん予防ワクチンにおける副反応被害の大きさに鑑み、因果関係は「否定できなければ認める」方針で厳密な証明ができなくとも肯定すべきと考える。この点に関する厚生労働省の見解如何。

三 子宮頸がん予防ワクチン接種によって健康被害に遭った場合、定期接種とそれ以前の任意接種では救済制度が異なる。定期接種は任意接種と比較して、対象も広く、救済内容も手厚いものとなっている。
 定期接種化の前後で救済に差がある合理的な理由は乏しく、また、定期接種化される以前も、国や地方自治体が接種について公費助成をしてきており、事実上の推奨を行ってきた経緯もある。したがって、私が平成二十五年十月十五日に提出した「子宮頸がん予防ワクチン及び子宮頸がん検診に関する質問主意書」においても指摘したとおり、定期接種前についても、定期接種後と同水準での救済を行うべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。