質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二七八号

安全保障関連法案と日本国憲法の恒久平和主義の基本原理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安全保障関連法案と日本国憲法の恒久平和主義の基本原理に関する質問主意書

 日本国憲法は、前文において「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と全世界の国民が平和的生存権を有することを確認するとともに、第九条第一項において「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とし、戦争と武力による威嚇又は武力の行使を禁止するとともに、第九条第二項において「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とし、戦力の不保持、交戦権の否認を定めることで、徹底した恒久平和主義を基本原理としている。
 日本国憲法の恒久平和主義の下で、今まで、政府は、昭和四十七年の「自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」旨の政府見解などにおいて、①憲法も我が国が独立国として当然に保有する自衛権を否定するものではなく、我が国に対して武力攻撃が加えられた場合にこれを排除するため、必要最小限度の実力を行使することまでは禁じられていないとするとともに、②集団的自衛権の行使や海外での武力の行使は、その限度を超えるものとして許されないと解釈してきた。政府が今国会に提出した我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案は、これまでの日本国憲法の平和主義を逸脱したものと考える。
 これらを踏まえ、以下質問する。

一 以下の点について、日本国憲法の平和主義を逸脱していないとする理由を示されたい。

① 我が国に対する武力攻撃に対処するための個別的自衛権行使に限定した武力行使の容認と個別的自衛権行使以外の場面での武力行使の禁止(海外での武力行使を禁止し、武器使用に限定)を原則としていたものを、集団的自衛権の行使を認め、海外での武力行使を可能とすること。
② 他国の武力行使との一体化を禁止し、また、他国の軍隊への支援活動は活動期間中に戦闘に巻き込まれない非戦闘地域における食料や医療品などの提供など武力行使との一体化にならない範囲に限定していたものを、「現在戦闘が行われていない地域」であれば法文上どこでも活動できるようにし、また、支援内容も弾薬の提供や戦闘に参加する航空機への給油なども可能とすること。
③ 海外での活動の種類・範囲を後方支援・人道復興支援等に限定していたものを、戦闘現場に近い警護活動や安全確保活動等も可能とすること。
④ 武器使用を自己保存権に基づくものに限定していたものを、任務遂行のための武器使用も可能とすること。

二 前記一の①から④の法改正は、自衛隊員はもとより他国の国民をも殺傷する可能性があり、全世界の国民の平和的生存権を保障する憲法前文にも違反するものではないか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。