質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二七七号

安全保障関連法案と日本国憲法の国民主権の基本原理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安全保障関連法案と日本国憲法の国民主権の基本原理に関する質問主意書

 日本国憲法は、前文において「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と表されているように、国民主権の原理に立脚している。国民主権の原理は、国民の憲法制定権力に由来するが、近代立憲主義憲法に基づく制度としては、国民の憲法制定権力は、国民の憲法改正権に転化する。
 したがって、日本国憲法は、憲法改正について、第九十六条第一項において「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」と定めているが、これはまさに国民主権原理を具現化した規定であると言える。
 したがって、本来、憲法の改正によって行うべき憲法の実質的な変更を、閣議決定や法律の制定・改正によって行おうとすることは、憲法第九十六条を潜脱するものであるとともに、国民主権を脅かす重大な憲法違反であって、許されるものではない。
 政府が今国会に提出した、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案は、法律の制定・改正によって憲法前文と憲法第九条の内容を実質的に変更しようとするものであり、憲法第九十六条に違反し、国民主権を侵すものであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。