質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二七五号

安全保障関連法案の審議における「受動的」及び「限定的」の定義に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月七日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安全保障関連法案の審議における「受動的」及び「限定的」の定義に関する質問主意書

 平成二十七年五月二十六日の衆議院本会議において、稲田朋美衆議院議員の、海外派兵は許されないとする従来の政府見解は維持されるのかに関する質疑に対して、安倍内閣総理大臣は、「機雷掃海については、その実態は、水中の危険物から民間船舶を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものです。その性質上も、あくまでも受動的かつ限定的な行為です。このため、外国の領域で行うものであっても、必要最小限度のものとして、新三要件を満たすことはあり得るものと考えています。」と答弁している。
 また、同本会議において、佐藤茂樹衆議院議員の、平和安全法制の整備と専守防衛の関係に関する質疑に対して、安倍内閣総理大臣は、「今般の法整備によって、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略である専守防衛について、その定義、そして我が国防衛の基本方針であることに、いささかの変更もありません。」と答弁している。
 さらに、同月二十九日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会において、濱地雅一委員の、米軍等の部隊の武器等防護の趣旨に関する質疑に対して、中谷防衛大臣は、「これは、現行の九十五条の規定を踏まえて新設いたしました。すなわち、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等は、我が国の防衛に資する活動に現に用いられているものである以上、我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当すると評価することができると考えられることから、これらの防護をするため、現行の自衛隊法第九十五条による武器の使用と同様の、極めて受動的かつ限定的な必要最小限の武器の使用を認めたものでございます。」と答弁している。
 さらに遡ると、平成二十六年六月十九日の参議院外交防衛委員会において、井上哲士委員の、ホルムズ海峡の機雷掃海の問題に関連した憲法上の武力行使の区分の有無に関する質疑に対して、横畠内閣法制局長官は、「憲法第九条の下でいかなる武力の行使が許されるかという議論としてなされるべき事柄かもしれませんけれども、その受動的、限定的ということで具体的に何を指し示すのか、それいかんによるものであろうかと思いますが、武力の行使そのものに法的な区分があるかどうかという点は別論であろうかと思います。」と答弁している。
 これらの答弁について、以下質問する。

一 右の答弁においては、「受動的」及び「限定的」が多用されているが、それらの定義を明確にされたい。

二 答弁における「受動的」及び「限定的」の二つの用語の定義が明確にならなければ、自衛隊の専守防衛、米軍等の部隊の武器等の防護、外国領海における機雷掃海に関して歯止めが効かなくなると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 専守防衛の説明における「受動的」、米軍等の部隊の武器等の防護に関する「受動的」及び「限定的」並びに機雷掃海に関する「受動的」及び「限定的」の定義は同じか。違うとする場合、それぞれの違いを明確にされたい。

  右質問する。