質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二七三号

相模総合補給廠の爆発火災と日米地位協定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年九月七日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   相模総合補給廠の爆発火災と日米地位協定に関する質問主意書

 現在審議中の集団的自衛権の行使容認等を始めとする新しい安全保障法制の成立により、自衛隊が米軍とともに海外で活動する機会が増えれば、我が国は安全になるのではなく、むしろ国内の米軍基地等に対するテロ攻撃等の可能性が高まるとの指摘もなされている。沖縄県や神奈川県には、多くの米軍基地が存在しており、このようなテロ攻撃等による住民への被害が発生するおそれを看過することはできない。
 本年八月二十四日に発生した相模総合補給廠の爆発火災(以下「本件火災」という。)についても、仮に爆発物や化学物質等が保管してある倉庫であれば、住民への深刻な被害がもたらされることにもなる。また、それらに対するテロ攻撃があれば、更に被害が広がる可能性も想定される。さらに、事故当時倉庫の保管物が不明だったため、日本側による放水活動ができなかったという実態がある。右の点を踏まえ、以下質問する。

一 本件火災の原因、何が保管されていて何が爆発したのか、米軍当局は倉庫に何が保管されているのか把握していたのか等について、事実関係を明らかにされたい。

二 本件火災の原因はいまだ明らかになっていない。これは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下「日米地位協定」という。)がこうした事故等の際に日本の当局の立入調査を認めていないことも一因であると考える。米軍基地内における事故や火災であっても周辺住民に深刻な被害がもたらされる可能性があることはいうまでもない。こうした被害を防止するためにも日米地位協定を抜本的に改正して日本の当局が初動から関与して事故調査にも参加することができるようにすべきと考えるが、政府の見解如何。

三 現在、米国との間で「日米地位協定の環境補足協定」(以下「環境補足協定」という。)の締結に向けて協議が行われていると承知している。環境補足協定には「現に発生した環境事故(漏出)後の立入り」についての手続の作成も含まれるとされており、一定の評価はできる。他方、立入り対象は環境事故(漏出)のみに限られており、また、立入り自体が確約されるものでもない。環境補足協定の交渉は、昨年十月の第九回会合以降開かれていないことからも、次回の会合において、火災や災害等による事故も対象とし、立入り自体を関係地方自治体等に認めるなどの規定が盛り込まれるよう努力すべきであり、その上で、早期の締結、国会承認を求めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 本件火災の際に爆発した倉庫について、防衛省地方協力局は「米側の要請を受けて日米間で協議し、建物を提供した」と説明し、日本政府が整備したことを明らかにした。焼失した倉庫の建替費用について米側から負担要請があった場合、どのような方針で協議に臨むのか、そして本件火災の爆発原因については費用負担の検討要素となるのか、それぞれについて政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。