質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二六一号

全ての労働者の均等・均衡処遇の実現に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月二十七日

石上 俊雄   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   全ての労働者の均等・均衡処遇の実現に関する質問主意書

一 法定最低賃金の遵守と理解普及の推進について

1 平成二十年の最低賃金法改正で、最低賃金の決定基準や罰金の上限額、派遣労働者への適用等が見直され、地域別最低賃金について生活保護との逆転現象の解消の道筋が見えてきた。更なる実効性の確保の観点から監督行政の強化を行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 職種・職務や職責・役割等の「仕事基準」による公平性・納得性・透明性が担保される公正な賃金決定システムの確立に向けた取組として、業種別賃金のミニマム基準である特定最低賃金を広めるとともに特定最低賃金の発展に向けた制度の理解を促進させるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

二 派遣・請負労働者の雇用安定・労働条件向上について

1 「製造請負優良適正事業者認定制度」は、優良・適正な請負事業者を認定・公表することで製造請負事業の適正化と雇用管理改善の推進や製造請負業界の市場競争の健全化を実現し、労働者の福祉向上及び発注者の製造業務の長期的な質的改善を目指す制度であり、その一層の推進・普及を図るべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 技術・技能、職業能力開発等を考慮した請負料金が設定されるべく請負事業者・委託事業者の支援・監督指導を強化するとともに、公的な能力認定制度の整備や優良な派遣元事業主の育成につながる施策に積極的に取り組むべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
3 「キャリア形成促進助成金」や「派遣・請負労働者等のキャリア形成を支援するための手引」等の更なる活用・普及を図るべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
4 受け入れた派遣・請負労働者に自社の研修を受講させる等、派遣・請負労働者の能力開発やキャリア形成に資する施策を行う受入先企業に対して、国が何らかの支援を行うのも一案と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

三 労働者派遣に関する基本的な考え方について

 労働者派遣について、制度の基本的な考え方である「派遣先における常用代替防止」を堅持しつつ、受入職場では派遣労働者を「ともに働くパートナー」として相互に認め合い、労使協議等における権利保護の取組が推進されるべきである。これらを満たすために労働者派遣制度については、法律制定当初の考え方である「専門業務に対する常用雇用派遣(ただし、常用雇用は無期雇用に限る)」に限っての運用が重要で、派遣労働の在り方を検討するに当たっては、まず派遣労働の類型化を実態に即して行い、それぞれの課題について明確に把握するとともに、社会的なコンセンサスを形成することが必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

  右質問する。