質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二三〇号

嘉手納飛行場返還跡地内のダイオキシン汚染に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月四日

糸数 慶子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   嘉手納飛行場返還跡地内のダイオキシン汚染に関する質問主意書

 沖縄防衛局は、平成二十七年六月二十九日に、嘉手納飛行場返還跡地内(現沖縄市サッカー場。以下「当サッカー場」という。)において発掘されたドラム缶に関する調査結果を発表した。この調査結果により、ドラム缶付着物等から高濃度のダイオキシン類が検出されたとのことであるが、この点について以下質問する。

一 平成二十五年六月以降、当サッカー場で発掘されたドラム缶は合計百八本にのぼる。これらのドラム缶からダイオキシン類が長期にわたって持続的に流出しているとの専門家の指摘もあるが、なぜ当サッカー場にこのように大量のドラム缶が埋められることになったのか、政府の知るところを明らかにされたい。

二 当サッカー場にドラム缶を遺棄した際、作業員等が汚染源に直接触れた可能性はないか、当時米軍に雇用されていた作業員等の現在の健康状態を調査すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 沖縄防衛局が平成二十七年二月十日に発表した報告書によれば、当サッカー場西側に位置する排水口から排出基準値以下のダイオキシン類が検出されているが、沖縄県が平成二十五年十月及び平成二十六年二月に調査した際の毒性等量は、今回の調査結果と比べて小さかった。同報告書では、その原因としてドラム缶発掘工事の影響が考えられるとしているが、沖縄防衛局としてもこの指摘のとおり発掘工事の影響があったと認識しているのか明らかにした上で、排水口のダイオキシン類の毒性等量変動の原因を明らかにされたい。
 また、基準値以下であっても、汚染の経路を把握する必要があると考えるが、どのような経路により排水口で検出されることとなったか、政府の知るところを明らかにされたい。

四 発掘工事に伴い生じた廃棄物混じり土砂について、沖縄防衛局は「ブルーシート等により養生し、周辺に対する影響が出ないよう適切に管理しています」としているが、先日の台風九号の影響でブルーシートが剥がれ、汚染が再度拡散した可能性がある。沖縄防衛局として汚染の拡散を確認しているのか、確認していればその内容を明らかにされたい。確認していなければ至急確認すべきと考えるが、沖縄防衛局の見解を明らかにされたい。その上で、その養生方法を適切とした根拠は何か、また、今後の管理の在り方について、政府の見解を示されたい。

五 平成二十七年六月二十九日付けの調査結果の「ドラム缶十七本に関する(本年三月に中間報告でお知らせした分析項目以外)主な調査結果の概要」において、沖縄防衛局は、「愛媛大学農学部客員教授森田昌敏教授の意見を聴取しつつ、同教授の監修の下、最終的な取りまとめを実施」したとしている。沖縄防衛局は、当サッカー場のドラム缶に関し、これ以前に行われた調査においても森田教授に「監修」を委任しているが、同教授を選任した経緯、理由、また監修とはどのような作業を具体的に指しているのか明らかにされたい。

六 周辺の住民生活に影響を与える可能性のある環境汚染問題について、調査結果に加え、第三者の専門家や市民の意見を取り入れて、議論を公開して問題に対処するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 本年度中に、廃棄物混じり土砂の処理及び掘削部の埋戻し作業が開始されるとの報道があるが、そのような予定があるのか明らかにされたい。予定があるのであれば、具体的な作業日程を示されたい。また、当サッカー場で作業を行う作業員等の安全性確保の方策について明らかにされたい。

八 子どもたちが利用していた公共の場である当サッカー場において、人体に多大な悪影響のあるダイオキシン等が検出されることは、看過できない問題である。調査結果に関する報告書は公表されているものの、政府は住民への説明会を開くなど、直接説明責任を果たすべきと考えるが、その予定はあるか、政府の見解を示されたい。

九 今後、米軍基地返還跡地で遺棄物が発見されるなど環境汚染が発覚した場合、速やかに対応がなされるよう政府として対策を練っておくべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。