質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二二七号

中国の台頭と国防費の増加への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年八月三日

藤末 健三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   中国の台頭と国防費の増加への対応に関する質問主意書

 平成二十七年七月三日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における柿沢未途委員の質問に対して、安倍内閣総理大臣は「中国の公表されている国防費は、一九八九年度から現在まで、一年を除いて毎年二桁の伸びを記録しておりまして、二〇〇五年度から十年間で三・六倍、そして一九八九年度から二十七年間で四十一倍に拡大をしてきているわけでございまして、二〇一五年の国防予算についても中国政府は前年執行額比一〇・一%の増加と公表しておりまして、日本の防衛費、防衛予算の三・三倍となっております。このような国防費の高い伸びを背景とした中国の積極的な海洋進出と、十分な透明性を欠く中での軍事力の広範かつ急速な強化は、我が国を含む国際社会の懸念事項となっております。」と答弁しているが、以下質問する。

一 中国の国防費の増加に対抗して、我が国が防衛費を中国のように毎年前年度比一割以上増加させることは、千兆円以上の負債を抱えている中で不可能である。そのため、我が国並びに国民の生命及び安全を守るには、中国に対して、過度な軍事力の拡大を抑制するように国際社会と連携して対話を行うべきと考えるが、政府は、こうした対話の意義についてどのように認識しているのか。また、現在、政府はそうした取組を行っているのか。行っていない場合、今後行う考えはあるか。

二 中国の国防予算は、透明性が低く、また、国際的な行動規範の遵守が徹底されていない。これらの点についても国際社会と連携して中国に働きかけていくべきと考えるが、政府は、こうした働きかけの意義についてどのように認識しているのか。また、現在、政府は、そうした働きかけを行っているのか。行っていない場合、今後行う考えはあるか。

三 中国の核兵器及びミサイルの脅威について、平成二十七年六月二十九日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における長島昭久委員の質問に対して、中谷防衛大臣は「一九五〇年代半ばから独自の開発努力を続けて、抑止力の確保、通常戦力の補完及び国際社会における発言力の確保を目指しているということでございまして、中国が保有する弾道ミサイルのうち我が国を射程におさめるものにつきましては、DF3、DF4、DF21といった中距離弾道ミサイル、また、DF11、DF15、DF16といった短距離弾道ミサイルがありまして、液体燃料推進方式から固体燃料推進方式への更新による残存性及び即応性の向上が行われているほか、射程の延伸、命中精度の向上、弾頭の機動化や多弾頭化などの性能向上の努力が行われております。また一方、巡航ミサイル、これは、DH10を保有しているほか、核兵器や巡航ミサイル搭載可能なH6爆撃機を保有しておりまして、これらは弾道ミサイル戦力を補完して、我が国を含むアジア太平洋地域を射程におさめる戦力になると見られております。」とその脅威を強調している。こうした中国の核兵器の脅威に対して、我が国は、国際社会と連携し、核兵器不拡散条約(NPT)体制を基本として、中国に包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期批准を促すことでCTBTを早期に発効させ、さらには、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の発効へとつなげることで、中国を始めとする核保有国の核兵器削減を進めていくべきと考えるが、政府は、中国を始めとする核保有国の核兵器削減に向けて、いかなる方針の下、どのような取組を行っているのか。行っていない場合、今後行う考えはあるか。

四 平成二十六年の我が国の貿易総額における日中貿易総額は約二十・五%を占めており、中国は我が国にとって最大の貿易相手国となっている。そのため、我が国を取り巻く安全保障環境を考えた場合、日中双方向で、貿易の拡大、投資の促進、人材及び文化の交流を進めるなど、より多面的なアプローチで中国との関係を構築し、防衛に偏らずに我が国の安全保障環境の改善を進めるべきと考えるが、今後の日中関係をどのように構築していく考えか、政府の見解を明らかにされたい。特に中国との経済連携の強化による幅広い経済関係の構築は、両国間の経済的な相互依存を強め、人的往来の活性化も見込まれるため、紛争のリスクを著しく減少させると考えるが、現在政府は、中国との経済連携の強化に向けてどのような取組を進めているのか。また、今後、どのように加速化させていくつもりか。

  右質問する。