質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二一八号

一九四五年八月十四日の閣議に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年七月二十九日

神本 美恵子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   一九四五年八月十四日の閣議に関する質問主意書

 今年は戦後七十年ということで様々な歴史的検証が行われている。歴史を構成するのは、一つは記憶であり、もう一つは記録である。戦争を体験した人が減少する一方で、記録の重要性はこれ以後も増すことはあっても減少することはない。
 記録の第一のものは国家の持つものである。国家の統治行為、命令などを誰が、いつ、どのように発したかは極めて重要な歴史資料である。戦後七十年を経てなお続いている近隣諸国との歴史認識の溝を埋め、共通認識を得るために最重要な記録である。そこで質問する。

一 一九四五年八月十四日の閣議(以下「本件閣議」という。)の内容、出席した閣僚名、場所、時刻を明らかにされたい。

二 本件閣議決定の内容はどのように実行に移されたか、明らかにされたい。

三 一九四五年七月二十六日に出された「ポツダム宣言」は第十項で「吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰加ヘラルヘシ」としているが、この項目の内容と本件閣議の関連について明らかにされたい。

四 一九四五年八月十五日以前から、軍部、政府関係機関では公文書の焼却が大量に何日間も行われたが、この焼却行為の法的根拠を示されたい。

五 政府は一九四五年八月十八日に各市町村長に宛て「機密重要書類焼却ノ件」を、八月二十一日に「大東亜戦争関係ポスター類焼却ノ件」という通達を出した。これらの通達の法的根拠をそれぞれ示されたい。

六 「機密重要書類焼却ノ件」と「大東亜戦争関係ポスター類焼却ノ件」の二つの通達は、通達そのものの棄却までも命じている。このような組織的な証拠隠滅行為を国家が行うことをどのように判断すればよいか、政府の見解を明らかにされたい。

七 本件閣議及び前記五の通達について、これまで国会で議論されたことがあるか否か、あった場合にはその内容につき、政府の承知するところを示されたい。

八 極東国際軍事裁判では、本件閣議決定に関する言及がなされたか否か、政府の承知するところを示されたい。

九 これまで政府は、戦後賠償問題や戦時・戦後補償問題で各国と交渉した際、本件閣議決定や各種通達について各国に説明したことがあるか否か示されたい。

十 本件閣議決定とそれによる行為は近代国家として許されざる卑怯・卑劣なことである。また、当時の軍事・政治指導者が自分たちが裁かれるのを防ぐため政策決定の重要資料を全て焼却するというのは、その時代の国民に対して責任を負うつもりがないこと、さらに、歴史上の判断を仰ぐ意思もないことを示している。戦後七十年の今、これらをどう評価、判断するのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。