質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇八号

自転車走行中の片耳イヤホン装着に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年七月十六日

小西 洋之   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   自転車走行中の片耳イヤホン装着に関する質問主意書

 「危険な交通違反」を繰り返した自転車利用者に講習受講を義務付ける改正道路交通法が本年六月一日に施行された。「危険な交通違反」についての具体的な行為について、改正道路交通法第百八条の三の四で「政令で定めるもの」(危険行為)とし、その政令である改正道路交通法施行令第四十一条の三において十四項目の危険行為を列挙している。この第十四号に「法第七十条(安全運転の義務)の規定に違反する行為(以下「安全運転義務違反行為」という。)」(すなわち、改正道路交通法第七十条に定める安全運転の義務「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」に違反する行為)が定められている。この安全運転義務違反行為について、以下の事項を質問する。

一 自転車走行中の片耳イヤホン装着は安全運転義務違反行為に該当するか、政府の見解を明らかにされたい。該当しないとの答弁である場合、法第七十一条第六項に規定する各都道府県の公安委員会が定める事項に該当すると解してよいか。

二 関根ジロー松戸市議会議員の調査によれば、これまで、都道府県警察ごとに自転車走行中の片耳イヤホン装着に関する見解が異なるものになっていた。例えば、神奈川県警察のホームページのなかで、「片耳イヤホン」の使用について、「片耳でのイヤホンの使用は、「安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態」とはならないため、違反となりません」と記載されている一方で、埼玉県のホームページでは「片耳での使用なら、もう片方の耳で周りの音を聞くことができそうです。しかし、音量が大きい場合、周りの音が聞こえにくくなりますし、音楽に気を取られて安全運転に集中できなければ危険なことに変わりはありません。単純に「片耳だから大丈夫」ということにはなりません。」との記載がされる等、見解が異なる(あるいは、一般市民の理解において異なるように受け止められ得る)ものとなってきたところであるが、全国の各都道府県警察が等しく法第七十一条第六項の趣旨を適切に判断し、対応してきているものと考えるか。

三 前記二において「適切に判断し、対応してきているもの」と考えている旨の答弁である場合、前記二で述べたような見解の違い等が一切存在しないと考えているのか。また、この見解の違い等が存在すると考えている場合は、それがなぜ法的に正当化され得るのか、法第七十一条第六項における「道路における危険を防止」及び「交通の安全を図るため」との文言の法理を具体的に示した上で具体的かつ詳細に示されたい。

四 法第七十一条第六項に定める「道路における危険を防止」及び「交通の安全を図るため」の法理に基づき、各都道府県において定められた運転者の遵守事項における自転車走行中の片耳イヤホン装着に関する見解の在り方が、各都道府県によって異なるのは不合理ではないか。全国各地域において異なる受止めや誤解が生じないようにするために、明確な警察庁の基本見解を各都道府県警察に通知すべきであると考えるが、政府の考え方を明らかにされたい。

  右質問する。