質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇五号

エネルギー需給・環境問題への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年七月十三日

石上 俊雄   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   エネルギー需給・環境問題への対応に関する質問主意書

 資源小国である我が国のエネルギー政策は、いわゆる三つの「E」と一つの大きな「S」、すなわちエネルギーの安定供給(エネルギー・セキュリティ)、経済効率性の向上(エコノミック・エフィシェンシー)、環境への適合(エンバイロメント)、そして安全性(セイフティ)を基本としつつ、特定の電源に過度に依存することなく、原子力、火力、再生可能エネルギー等の多様な選択肢をバランス良く持つことが重要である。短期的には経済性や安定供給性に、中長期的には持続可能性や省エネ等意識の向上にも力点をおくべきである。
 現在議論の多い原子力発電については、これを代替できるエネルギー源の確保ができるまでは我が国に必要なエネルギー源として安全性向上等の技術開発を進め、また原子力発電の趨勢に関わりなく、廃炉や放射性廃棄物処分等の技術の向上と人材確保を進めるべきである。また電力自由化については、価格面だけではなく、発電事業者のエネルギー供給責任やコスト負担等の視点も踏まえて議論を行い、地球温暖化問題等の環境問題については、国全体としてだけでなく、個人や企業単位でも十分な対応を進めることが肝要である。つまるところエネルギー基本計画でいうように、エネルギー政策に奇策は通用しない。
 そこで、以下質問する。

一 原子力発電所の再稼働について

1 安全性確保を最優先し、地元の十分な理解を得つつ、安全基準を満たした原子力発電所は運転を再開させ、エネルギー・コストの上昇や電力安定供給への懸念を払拭するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 必要十分な安全審査を行う体制の確保は国の重要な責務である。これまでの経験を踏まえ、手順や評価方法等審査の効果・効率化の向上にも取り組むべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
3 使用済燃料から生じた高レベル放射性廃棄物の最終処分場候補地は、国の強力なリーダーシップの下、様々な政策資源を投入しながら選定を進めていくべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

二 今後増加すると見込まれる原子力発電所の廃炉について

1 運転開始四十年を超える原子力発電所が今後増加していく見込みのなかで、炉内構造物等の処分基準の策定は急務と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 廃炉によって発電事業が終了する見込みの地域に対して、国は雇用や暮らしその他の地域経済に与える負の影響の分析やその対応策を地域と一緒になって準備・検討するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

三 再生可能エネルギーについて

1 固定価格買取制度について、国民負担を十分に考慮しつつ、点検・見直しは継続的に行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 地熱・風力発電について、環境アセスメントの迅速化を進めていくべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
3 自家発電や蓄電池、省エネ機器等の導入支援を積極的に行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
4 水素エネルギーについては、太陽光発電と水電気分解装置、蓄電池等を組み合わせた、いわば水と太陽だけで稼働する自立型エネルギー供給システムが既に実現しており、災害時に電力と温水の供給源、平常時に電力ピークカットのための燃料電池として活用され始めている。その潜在性を十分に引き出すべく国として研究開発や利活用を促進していくべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

四 電力小売自由化について

1 全ての事業者が安定供給等の公益的責任を果たすべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 電力卸売市場において売電価格をリアルタイムで公開する仕組みを整えるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
3 全ての事業者に自らのサービス内容を分かりやすいかたちで表示させるためのガイドライン作成等の消費者保護を積極的に推進するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

五 気候変動枠組条約への対応について

1 二〇二〇年以降の温室効果ガスの削減目標について、国民生活や産業に与える影響を十分に考慮した上で、国際的に責任を果たし得る目標値を提示するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 再生可能エネルギーの普及や電力システム改革の進捗状況等、我が国の将来のエネルギー構成については、東日本大震災後の原子力発電停止が続くなか未知数の部分が大きいため、温室効果ガスの削減目標値を一定の幅を持ったものとすることが現実的・合理的と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

  右質問する。