質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一九六号

改正児童ポルノ禁止法施行に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年七月六日

山田 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   改正児童ポルノ禁止法施行に関する再質問主意書

 昨年六月十八日に参議院本会議において、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律(以下「改正児童ポルノ禁止法」という。)が成立し、同年七月十五日より施行された。
 しかし、児童ポルノの性的目的での所持については、従来、所持自体が違法でなかったものが違法となることに鑑み、期間内の廃棄を促す狙いで一年間は罰則の適用が猶予されている。
 その猶予期限である、七月十五日の直前であることに鑑み、以下質問する。

一 改正児童ポルノ禁止法第七条における「所持」とは具体的に何を意味するのか。

二 本年二月十三日に閣議決定された「参議院議員山田太郎君提出アマゾンジャパンに対する家宅捜索に関する質問に対する答弁書」(内閣参質一八九第一六号)に「およそ実在しない児童を描写したものであれば、「児童ポルノ」には該当しないと解される。」とあるが、ここでいう、「およそ実在しない」とは具体的に何を意味するのか。

三 改正児童ポルノ禁止法第十六条の三に事業者の努力義務が課されているが、当該事業者が電気通信役務(電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。)以外の事業を行っている場合、当然に、全ての業務において、同様の努力義務が発生すると理解しているが、その理解で相違ないか。

四 前記三に関連して、当該事業者がウェブサーバーを所有・管理している場合において、そのウェブサーバー内のファイルに児童ポルノ禁止法で定義する児童ポルノが存在するかどうかのサイバーパトロールを行うことも努力義務の範囲に含まれると解されるか。

五 児童ポルノの性的目的単純所持の罰則適用についての国民への告知について、本年七月一日現在、法務省ウェブサイト上において、トップページにバナーを貼り、そのリンク先に改正児童ポルノ禁止法関連のページが設定されている。また、当該関連ページから「あかれんがvol.47」の改正児童ポルノ禁止法関係の記事についてリンクが張られている。本施策を含め、七月一日時点で国民への告知は十分であったと考えるか、政府の見解を明らかにされたい。

六 いわゆる「コンピューター・グラフィックス児童ポルノ裁判」では、製造物が改正児童ポルノ禁止法における児童ポルノの定義に該当するかどうかについて、専門家により議論されていると認識している。一般国民が簡易に児童ポルノであるか否かを判断する具体的な基準・ガイドラインを提示するつもりはあるか、政府の方針を示されたい。

七 前記六と同時に、現在所持している児童ポルノについて、廃棄の具体的な基準・ガイドラインを提示するつもりはあるか、政府の方針を示されたい。

八 前記六及び七に関連して、改正児童ポルノ禁止法について、犯罪成立要件のうち、違法性・責任の観点で異論があると認識しているが、政府としては、異論はないと認識しているのか。

  右質問する。