質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一九五号

東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故への対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年七月六日

石上 俊雄   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故への対応に関する質問主意書

 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故から五年目を迎えた今年二〇一五年、放射性物質汚染廃棄物等の処分と廃炉・汚染水対策の二大課題が重大な局面に差し掛かっている。放射性物質汚染廃棄物等に関しては三月に、福島県内の仮置場から中間貯蔵施設用地に向けて除染で出た汚染土が試験搬入され始め、廃炉に関しては四月から無人ロボットを投入して、燃料デブリの取り出し工法を決めるための格納容器内の状況把握が開始された。どちらも予断を許さない状況で、現段階でも政府の計画では、中間貯蔵から県外最終処分までに約三十年、廃炉措置に約四十年(燃料デブリ取り出しから廃炉措置終了まで)と極めて長い期間を要する見込みである。
 この前例のない難問解決には、技術的ブレイクスルーが幾つも必要だが、それだけでなくステイクホルダー間の複雑な意思決定やその時々の諸事情に影響され、結果的に政策は強い経路依存性に支配され、当初の想定から大きく外れていく可能性もある。そのため政府が元々どのような認識・価値観の下、政策を検討・実施していたかを明らかにしておくことは、将来、国民一人ひとりが時に立ち止まり、時に振り返り、政策の行方について熟慮熟考する際の貴重な判断材料たり得るとの観点で意義があると考える。
 そこで、以下質問する。

一 放射性物質汚染廃棄物等の処分について

1 放射性物質汚染廃棄物等の処分については、作業計画等の情報公開の徹底、違法投棄の監視取締りの強化、着実な搬入作業の実施等を通じて国民の不安払拭に努めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 中間貯蔵施設の用地取得と建設については、搬入作業の進捗や実績をベースに、地権者や地域住民と十分な対話を重ね、理解と納得を確認しつつ進めることを原則とするべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
3 最終処分場の選定については、地域住民等と十分な対話を重ね、理解と納得を確認しつつ進めることを原則とするべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
4 現在保管されている放射性物質汚染廃棄物等については、処分できればそれでよしとするのでなく、できる限り減容化を目指し、放射性物質の分離技術や土壌の再資源化等の研究開発を進めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

二 廃炉・汚染水措置について

1 廃炉・汚染水措置については、国と東京電力株式会社は緊密な連携・協力関係の下、状況を十分なコントロール下に置きつつ対応策を実施していくべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
2 何よりも作業従事者の健康管理・安全確保を優先する体制を維持・充実させ、電力会社やメーカー等関係諸機関の間でベスト・プラクティスの共有化を図るべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
3 「情報公開なくして国民の安心なし。国民の安心なくして原子力なし。」が基本と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。
4 無人ロボットやセンサー、データ解析等の研究開発及びこれらに関する世界最高レベルの人材育成を通じて、我が国の廃炉技術の確立を図り、原子力分野での国際貢献を目指すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。併せて現在までの取組、その自己評価及び今後の施策の方向性を示されたい。

  右質問する。