質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一八三号

戦争法案における諸「事態」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年六月二十四日

福島 みずほ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   戦争法案における諸「事態」に関する質問主意書

一 武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(以下「武力攻撃事態法」という。)における「武力攻撃が発生した事態」の定義は何か。また、想定される具体例を示されたい。

二 武力攻撃事態法における「武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認めるに至った事態(以下「武力攻撃切迫事態」という。)」の定義は何か。また、想定される具体例を示されたい。

三 武力攻撃事態法における「武力攻撃予測事態」の定義は何か。また、想定される具体例を示されたい。

四 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(以下「平和安全法制整備法案」という。)による改正後の重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(以下「重要影響事態安全確保法」という。)における「重要影響事態」の定義は何か。また、想定される具体例を示されたい。

五 平和安全法制整備法案による改正後の武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律における「存立危機事態」の定義は何か。また、想定される具体例を示されたい。

六 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案における「国際平和共同対処事態」の定義は何か。また、想定される具体例を示されたい。

七 武力攻撃事態法第二条では「武力攻撃事態等」として、武力攻撃切迫事態や武力攻撃予測事態を規定している。他方、法改正により追加される「存立危機事態」には、武力攻撃切迫事態や武力攻撃予測事態に該当するものは規定されていないが、その理由を明らかにされたい。また、政府は、存立危機事態を新しく設けることは、憲法上可能だと考えているのか。

八 武力攻撃切迫事態の場合、防衛出動はできても、実際の武力行使はできない。他方、存立危機事態の場合、防衛出動のみならず、実際の武力行使も可能となっている。武力攻撃切迫事態よりも、存立危機事態の方が、我が国の安全に対する危険度が高いと考えているのか。我が国に対する武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態でも武力を行使できないのに、他国に対する武力攻撃が発生している事態で我が国が武力を行使できるとする理由を明らかにされたい。

九 我が国に対して武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態でも武力行使はできないのに、我が国から遠く離れ、戦火の及ぶ可能性のないホルムズ海峡において武力行使に当たる機雷の掃海ができるとする理由は何か。政府は、国民の常識から大きくかけ離れたことを主張しており、到底、国民の理解は得られないのではないか。

十 政府はこれまでに、存立危機事態の概念は重要影響事態に包含され両事態が併存すること、また、存立危機事態と武力攻撃切迫事態や武力攻撃予測事態が同時に該当することが多いこと、さらに、重要影響事態と国際平和共同対処事態が重なる場合があることを認めている。これらを踏まえると、国際平和共同対処事態と存立危機事態、または、重要影響事態と武力攻撃切迫事態等が重なる場合も想定されるのではないか。武力攻撃事態も含め、これら六つの事態が重なって発生するそれぞれの場合について、想定される組み合わせと政府の対処方針を明らかにされたい。

  右質問する。