質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一五七号

集団的自衛権における海外派兵に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年六月八日

中西 健治   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   集団的自衛権における海外派兵に関する質問主意書

 政府は、平成二十六年七月一日に「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を閣議決定し、自衛の措置としての武力の行使の新三要件(以下「新三要件」という。)を満たす限りにおいて集団的自衛権の行使は憲法上も許容される、との見解を示している。
 そして、新三要件の第一要件に定める「我が国と密接な関係にある他国」について、安倍内閣総理大臣は、平成二十六年七月十四日の衆議院予算委員会において、「我が国と密接な関係にある他国については、一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、そして我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものと考えています。具体的にどのような国がこれに当たるかについては、あらかじめ特定されているものではなく、武力攻撃が発生した段階において、個別具体的な状況に即して判断されるべきものでありますが(以下略)」、「米国以外の外国がこれに該当する可能性は、現実には相当限定されると考えていますが、いずれにせよ、個別具体的な状況に即して判断されることになります。」と説明しており、米国以外の外国が「我が国と密接な関係にある他国」に該当する可能性を排除していない。
 他方、第三要件に定める「必要最小限度の実力行使」について、安倍内閣総理大臣は、平成二十七年五月二十日の国家基本政策委員会合同審査会において、「必要最小限度の実力行使にとどまることがこれは重要なことでありまして、必要最小限度の実力にとどまることというのは、(中略)一般に海外派兵は認められていないという考え方、これは今回の政府の見解の中でも維持をされているということであります。つまり、外国の領土に上陸をしていって戦闘行為を行うことを目的に武力行使を行うということはありませんし、あるいは、大規模な空爆をともに行う等々のことはないということははっきりと申し上げておきたい、このように思います。」と説明し、海外派兵を行うことを原則として否定している。
 しかし、我が国の近隣にある外国が「我が国と密接な関係のある国」(以下「密接関係国」という。)と認められた場合、密接関係国が陸続きの他国(以下「攻撃国」という。)から武力攻撃を受け、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があると認められ、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないと認められる場合においても、外国の領土に上陸して自衛の措置としての武力を行使することが一切許されないのか、不明確な点がある。
 そこで、以下質問する。
 以下の①から③の三類型のうち、「必要最小限度の実力行使」として許容されるものはどれか、政府の見解を示されたい。政策論ではなく、憲法解釈として、法理上、認められ得るものを示されたい。
① 密接関係国の同意を得た上で、密接関係国の領土に上陸し、自衛の措置として武力を行使すること。
② 密接関係国の同意を得た上で、密接関係国の領土に上陸し、密接関係国の領土のうち攻撃国に占領された地域へ移動した上で、自衛の措置として武力を行使すること。
③ 攻撃国の領土に上陸し、自衛の措置として武力を行使すること。

  右質問する。