質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一五一号

戦争法案に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年六月二日

福島 みずほ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   戦争法案に関する質問主意書

一 安倍総理は二〇一五年三月二十日の参議院予算委員会において、私の質問に対して、「この三要件を満たすという中において更に、これが満たすという条件であります、そして、政策的な必要性、まさに国民の命と幸せな暮らしを守るために必要であるという判断をする中において武力行使が可能となる」と答弁し、新三要件を満たせば、海外で武力行使ができるという見解を示した。
 しかるに、同じく安倍総理は五月二十日の国家基本政策委員会合同審査会において、「外国の領土に上陸をしていって戦闘行為を行うことを目的に武力行使を行うということはありませんし、あるいは、大規模な空爆をともに行う等々のことはない」、「外国の領土に上陸をしていって、それはまさに戦闘作戦行動を目的に武力行使を行うということはしない」と答弁をしている。
 自衛隊は、外国の領土、領空、領海で、武力行使をすることはないのか。また、集団的自衛権は、公海上でしか行使しないという理解でよいか。
 さらに、そのことは、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(以下「平和安全法制整備法案」という。)のうち、「自衛隊法の一部改正」及び「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律の一部改正」のどこに明記されているのか示されたい。

二 私が、二〇一四年四月十日に提出した「集団的自衛権並びにその行使に関する質問主意書(第百八十六回国会質問第六七号)」に対する同年四月十八日付けの答弁書(内閣参質一八六第六七号)六及び七についてでは、「外務省として把握している国際連合憲章第五十一条に従い集団的自衛権の行使に当たって加盟国がとった措置として国際連合安全保障理事会に報告されたもの」として十四事例を挙げている。
 これら十四事例の中で、外国の領土、領空、領海以外の場所で、集団的自衛権が行使された事例があるか。また、公海上で、集団的自衛権が行使された事例があるか。

三 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(以下「イラク特別措置法」という。)における非戦闘地域の定義は、現在、戦闘行為が行われておらず、将来も戦闘行為が行われる可能性がない場所との理解でよいか。
 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(以下「国際平和支援法案」という。)は、自衛隊のいわゆる後方支援を認めている。
 同法案には、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。)が行われている現場(以下「戦場」という。)の隣りで、後方支援できるという内容が含まれているが、戦場の定義は何か。
 戦場の隣りは、将来、戦闘行為が行われる可能性があるが、そのような理解でよいか。

四 国際平和支援法案により、自衛隊が派兵される地域は、イラク特別措置法にいう非戦闘地域から、戦場の隣りまで拡大されるとの理解でよいか。

五 前記四に関して、自衛隊員が戦闘行為に巻き込まれるリスクが高まると考えられるが、その理解でよいか。

六 前記三に関して、国際平和支援法案の別表には後方支援の種類と内容が掲げられているが、具体的に何を行うのか明らかにされたい。

七 前記三に関して、後方支援を行う場所が、戦場になることはないのか。

八 前記七に関して、戦場になった場合、自衛隊は撤退せざるを得ない。自衛隊が活動を行う場所が一瞬にして戦場になることもあり得るが、その場合に現場の自衛隊は適切な判断ができるのか。

九 いわゆる後方支援を行う際、「自衛隊が米国の指揮下に入るということはない」と安倍総理は二〇一五年四月九日の参議院予算委員会において答弁した。
 米軍の指揮下に入らずして、どのように、いわゆる後方支援を行うのか。
 韓国軍は、米韓相互防衛条約により、有事の際には米軍の指揮下に入るが、自衛隊は米軍の指揮下に入ることはないのか。
 また仮に、米軍と韓国軍と自衛隊が共同で集団的自衛権の行使をする場合にも自衛隊だけ米軍の指揮下に入らないのか。

十 国際平和支援法案と、平和安全法制整備法案のうち「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(以下「周辺事態安全確保法」という。)の一部改正」には重なる部分があると思われるが、両者の関係はどうなるのか。

十一 国際平和支援法案においては、自衛隊が海外に派兵されるときは、必ず国会の事前承認を必要とする。一方、周辺事態安全確保法及び平和安全法制整備法案により改正される予定の同法(重要影響事態安全確保法)においては、自衛隊を海外に派兵するときに、必ずしも国会の事前承認は要求されない。両者の間に整合性がないのではないか、政府の見解を明らかにされたい。

十二 集団的自衛権の行使のために自衛隊を海外に派兵するときにも、必ずしも国会の事前承認は要件とされていない。
 国際平和支援法案におけるいわゆる後方支援のための派兵の場合は、国会の事前承認が必ず要件とされているのに、海外で集団的自衛権行使のため、戦場で武力行使をする場合には、国会の事後承認でも認められることは問題ではないか。

  右質問する。