質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一二二号

六ヶ所・東海両再処理工場の重大事故防止と核燃料施設の新規制基準適合性審査の強化等に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年四月二十八日

川田 龍平   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   六ヶ所・東海両再処理工場の重大事故防止と核燃料施設の新規制基準適合性審査の強化等に関する再質問主意書

 「六ヶ所・東海両再処理工場の重大事故防止と核燃料施設の新規制基準適合性審査の強化等に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第五四号。以下「前回主意書」という。)で私は、大量の放射性物質が貯蔵されている日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)六ヶ所再処理工場(以下「六ヶ所再処理工場」という。)及び東海再処理施設(以下「両再処理工場」という。)で重大事故が起きた場合の影響に危惧を表明したが、これに対する答弁書(内閣参質一八九第五四号。以下「答弁書」という。)を見ると、両再処理工場の重大事故に係る放射性物質の拡散シミュレーションなどの評価をしようとせず危機管理意識が希薄であり、疑問点も多々あることから、再質問する。

一 答弁書一の1についてでは、重大事故の際の放射性物質の拡散シミュレーションの両再処理工場における実施の有無と行っていない場合の理由を示されたい旨の私の質問に対して政府は答えず、ただ「事業指定基準規則」の重大事故防止やその評価条件を答弁しているにすぎない。重大事故の拡散シミュレーションを国や事業者は行っているのか、行っていないのか、又は行っていても公開できないのか、行わない又は公開できないのならばその理由を明らかにされたい。行っているのならば結果を公表されたい。
 また、答弁書一の10についてで、「再処理施設に係る原子力災害対策重点区域(以下「重点区域」という。)(中略)の範囲の見直しを行うこととしている。なお、当該見直しを踏まえ、原子力災害対策に係る地域防災計画を作成すべき範囲について検討を行うこととしている。」としていたが、拡散シミュレーションがないまま重点区域の範囲の見直しができるものか政府の見解を示されたい。

二 我が国では現在地震が多発していることから、東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以下「福島原発」という。)を襲った程度の津波がまた襲来する可能性を否定できない。答弁書一の4についてでは、国や事業者は同程度の津波が到来した場合、標高六メートルの東海再処理施設にある高レベル廃液がどうなるのか、その対策がどうなっているのか詳細を調べていないとのことであった。国立研究開発法人日本原子力研究開発機構という原子力専門家集団の施設で、このような基本的で重大な評価をしていないことは考えられない。人々の安全をどのように考えているのか。あらゆる手段を講じて首都圏の人々を守る姿勢がなければ専門家集団として信頼されない。東海再処理施設にあるのは福島原発事故の際に放出された約七十九倍の放射性セシウムを内蔵する高レベル廃液であり、事業者任せでは首都圏住民を守ることはできない。重大事故対応は電源だけではない。配管、ポンプ、継ぎ手、冷却水貯槽など冷却系等が破損し漏水しても冷却ができなくなる。答弁書一の5についてで「必要な措置を講ずるよう指導してまいりたい」とあるが、必要な措置とは具体的に何か示されたい。また、再処理工場の大事故防止問題に関わる新たな審議委員会等を作り、大事故時の拡散シミュレーションを行い津波対策と最悪事故時の深層防護(最後の手段)を検討し、国民を守るため積極的かつ真剣に取り組むべきと考えるが、政府の具体的な対応と見解を示されたい。

三 地震大国の我が国では、世界の再処理施設で起こったような事故が再処理工場内の各施設で同時に起こる可能性が強い。事故が同時多発した場合の対応について問うたが、答弁書一の6及び7についてでは曖昧な答弁であった。「重大事故が発生した場合における(中略)放射線の放出を抑制するために必要な設備を設けることを求めている」とあるが、具体的にはどのような設備を求めているのか。欧州の原子力発電所ではコアキャッチャーが設置されメルトスルーに備えていると聞いている。このような深層防護(最後の手段)や同時多発事故への対応について核燃料施設の新規制基準に規定しているのか、再度政府の見解を示されたい。

四 答弁書二の3についてで「原子力規制委員会は「原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守る」ことを使命とすることを(中略)広く国民に伝えていくことは重要と考えている。」とするのであれば、是非原子力規制委員会ホームページ冒頭に米国原子力規制委員会(NRC)のホームページと同様、「人と環境を守る」を付け加えるべきと考えるが、いかがか。

五 前回主意書の質問二の4で私は国の責任と覚悟を問うたが、答弁書はこれに答えず事業者へ責任を転嫁していた。福島原発事故を省みると、重大事故を起こしながら誰も責任をとっていない。このような無責任がまかり通るこの国は法治国家と言えない。事故責任者の罰則の見直しも含め原子力関連法について根本的な法体系から見直さなければいけないのではないか、政府の見解を明らかにされたい。また、総理大臣及び原子力規制委員会委員長の「国民と美しい国土を守るため」二度と重大事故を起こさぬ覚悟を示されたい。

  右質問する。