質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一一八号

道路標識に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年四月二十七日

江口 克彦   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   道路標識に関する質問主意書

 道路標識は、道路利用者に対して、特定の交通方法を規制・指示し(規制標識・指示標識)、道路上の危険や注意しなければならない状況を前もって知らせ(警戒標識)、又は地点の名称・方面・距離などを示す(案内標識)ものであり、道路の機能を十全に発揮させ、道路における交通の安全と円滑な運行を確保するために欠くことのできない重要な施設である。
 最近では、高齢化社会の進展による高齢ドライバーの増加だけでなく、グローバル化の進展による外国人ドライバーの増加も顕著である。例えば、一般社団法人全国レンタカー協会による、外国人への昨年のレンタカー貸渡件数調査によると、北海道地区では前年比百三十三%増、沖縄地区では前年比二百四十六%増となっている。
 それ故、道路標識も、これら社会情勢の変化に合わせ、不断の見直しが必要であり、国際的なハーモナイゼーションや誰にでも分かりやすいユニバーサル化などが求められているのではないかと考える。こうした点を踏まえ、以下質問をする。

一 道路標識は識別性が極めて重要であるが、我が国の道路標識には、アメリカや国際連合と形状が異なるものが幾つかある。例えば、道路標識の「止まれ」は、日本では逆三角形であるが、アメリカや国際連合では八角形をしている。今後、外国人ドライバーのためにも、形や英語併記も含めた国際標準化を検討すべきである。山谷国家公安委員会委員長は、本年四月十六日の参議院内閣委員会において、道路標識に英語を併記することも含めて検討していく旨の答弁をしているが、少なくとも首都圏や世界遺産のある地域については、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合うように整備することが重要であり、早急に道路標識の国際標準化を行う優先地域・道路の選定と具体的な整備工程表の策定を行うべきと考えるが、いかがか。

二 道路標識の国際標準化を進めるに当たっては、訪日外国人観光客や在日外国人への意識調査によりニーズを把握し、適切な見直しを行うべきである。そうしたきめ細やかな対応によって「おもてなし」の心を示すことができるのではないかと考えるが、外国人への意識調査に積極的に取り組むつもりがあるのか政府の見解を示されたい。

三 規制標識、指示標識、警戒標識(以下「規制標識等」という。)は、それぞれの意味が道路を利用する者に短時間で正しく認識・理解されないと意味がない。現在の道路標識は主に色と図で表示しているが、単純な象徴性と意味の違いを表現することのバランスは難しい。国民の関心も必ずしも高いとは言えず、日常生活を通じて理解することは容易ではなく、国民に十分に浸透しているとは言い難いのではないか。交通事故を未然に防止する観点からも、運転免許取得年齢未満の者や運転免許を取得しない者も含めて、広く国民に道路標識の正しい意味を理解してもらえるよう政府として施策を実施すべきではないか。学校教育や地域における社会教育において、地元警察署と密接に連携した道路標識学習会を開催したり、あるいは交通安全週間におけるイベントとして道路標識を学ぶ機会を設けたりといった取組をもっと積極的に行うべきではないか。

四 案内標識は、初めてその地を訪れる観光客等にとって非常に参考となる道しるべであるが、主要道路の行先がはるか遠くの都市を表示している例もある。また、外国人にとっては、日本語表記のみのものが多く、ローマ字等の表記がなされていても文字が小さいことから、走行中に判別するのは困難である。
 各地域が独創的なアイディアで地方創生に取り組むことが期待されるなかで、道路標識の整備が地域の活性化を図るための有益な材料となり得るのではないかと考える。観光資源の活用にしても、医療拠点化によるメディカルツーリズム構想にしても、外国資本の企業や大学の誘致による地方活性化にしても、外国人を含めた利用者にとって分かりやすい道路標識は地方創生施策の基本的なインフラといえるものであり、政府としては、こうした施策を後押しすべきではないか。

五 案内標識は見やすい位置に大きく掲示されているものが多いのに対し、規制標識等は小さく、特に高齢者ドライバーには見えにくいものが多い。高齢者ドライバーへの対応やユニバーサルデザインの観点から、規制標識等の大型化を進めてはどうかと考えるがいかがか。また、視認しやすさという観点から、案内標識に規制標識等の内容も含めて表示することが可能であれば、是非促進すべきと考えるがいかがか。不可能であるならば、その理由を示されたい。

  右質問する。