質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一一四号

国鉄共済年金に係る附帯決議の履行等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年四月二十一日

吉田 忠智   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   国鉄共済年金に係る附帯決議の履行等に関する質問主意書

 政府は、年金の公平性を確保することや年金制度に対する国民の信頼度を高めることを目的に、被用者年金制度の一元化を推し進めてきた。
 しかし、国鉄共済年金(現「日本鉄道共済年金」以下同じ。)は、その財政危機を理由に一九八四年、国家公務員共済年金に統合される際に、受給者全員が給付を十%減額され、また、一九八六年の年金制度の改正で、公的年金として制度設計された共済年金の職域年金が国鉄共済年金については支給停止とされ、一九九七年に公共企業体職員等共済年金が厚生年金に統合された後も職域年金の支給停止は継続され今日に至っている。
 二〇一二年八月の被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(以下「被用者年金制度の一元化法」という。)の成立により、公務員の恩給期間に係る給付について、追加費用削減のため二〇一三年八月から年金減額が実施されている。国鉄共済年金についても一九五六年六月三十日以前の在職者全員を対象にその期間の二十七%又は、年金額の十%の減額を二〇一五年十月から実施するとしている。
 今回、日本の公的年金として最後となる共済年金の一元化が実施されることとなるが、日本鉄道共済年金が国家公務員等共済組合法による公的年金である限り、過去の国会における附帯決議を履行し、公正な取扱いと差別の撤廃を求める。
 よって、以下質問する。

一 二〇一五年十月の被用者年金制度の一元化法の施行までの①旧三公社職員に対応する政令の作成と閣議決定、②新たなシステムの構築、③官報及びホームページ等への掲載による広報及び④本人通知に関するスケジュールを具体的に明らかにされたい。

二 日本鉄道共済年金受給者数について、①一九九七年三月三十一日以前の受給者数、②一九九七年四月一日以降の受給者数、③一九五六年六月三十日以前の在職者のうち恩給対象者数と国家公務員共済組合対象者数及び④遺族年金受給者数をそれぞれ明らかにされたい。

三 国鉄共済年金の財政危機の真の原因について、政府の見解を明らかにされたい。

四 国鉄共済年金の財政危機を理由に削減された十%の給付の回復を行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 基礎年金制度導入により、公的年金として創設された国鉄共済年金の職域部分の支給停止期間を明らかにされたい。

六 国鉄共済年金の職域部分の支給停止を解除し、支給するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

七 一九八四年に公共企業体職員等共済年金が国家公務員共済年金に統合され、国鉄共済年金の掛金の大幅引上げが行われたが、それ以降の年金制度改正毎の国鉄(日本鉄道)共済年金、国家公務員共済年金、NTT共済年金及び厚生年金の保険料率を明らかにされたい。

八 被用者年金制度の一元化法の制定による「追加費用」の取扱いについて、国鉄共済年金では追加費用部分を事業主の国鉄あるいは職員が負担してきたことから、公務員と同様に取り扱うことは止めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

九 一九五六年六月三十日以前の在職者で国家公務員共済年金対象者は、国家公務員共済年金の掛金として標準報酬月額の千分の五十を納めており、二十七%削減の計算式は成り立たないことから、削減対象から除外するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

十 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議における「国鉄の職域年金については、年金財政及び国鉄財政の動向等を見きわめ、設置することを将来検討すること」(一九八五年十二月十九日参議院内閣委員会)を履行するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

十一 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議における「今回の三共済の厚生年金への統合後においても、一元化に向けた着実な取組みの推進に努めること」及び「被用者年金制度間の給付と負担の不均衡について、引き続き、その是正を図ること」(一九九六年五月二十二日衆議院厚生委員会)を履行するべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。