質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇〇号

日本郵便株式会社における郵便物の放棄等の不祥事に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年四月七日

山田 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日本郵便株式会社における郵便物の放棄等の不祥事に関する質問主意書

 「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」である信書の送達について、我が国では、郵便事業として長く国家が独占して取り扱ってきた。その後、平成十五年に新たに信書の送達分野に民間事業者の参入を可能とする「民間事業者による信書の送達に関する法律」(平成十四年法律第九十九号)が施行された。
 同法においては、手紙などの国民生活に不可欠な基礎的な通信サービスを全国一律に提供する「一般信書便事業」に対して、なるべく安い料金で、あまねく公平な役務の提供を行うとともに、国民の負託に応え、通信の秘密の保護を確保するために、厳しい許可基準が設けられた。その結果、いまだに参入する事業者はなく、実質的に日本郵便株式会社(以下「日本郵便」という。)による独占状態が続いている。
 このように一般的な信書の送達については、国民に他の選択肢がない状況にもかかわらず、また、厳しい基準の下に運用されるべき事業であるが、日本郵便職員等による郵便物の放棄・隠匿・窃取・横領・紛失や誤配送等の不祥事(以下「不祥事」という。)が後を絶たない。
 実質的な独占事業として国民の負託に応えるべき郵便事業において、不祥事は、憲法に保障する通信の秘密を脅かし、国民の郵便事業に対する信用を失墜させる重大な問題である。そこで以下質問する。

一 日本郵便で不祥事が発生した場合において、政府が当該不祥事の発生を把握する手段を具体的に示されたい。

二 過去五年度について、各年度における日本郵便の不祥事の件数及び該当する郵便の通数を示されたい。また、それらは、各年度における郵便物の引受件数の何パーセントを占めているか、放棄・隠匿・窃取・横領・紛失や誤配送各々について示されたい。

三 過去五年度について、政府が報道を通じて把握した各年度における日本郵便の不祥事の件数を示されたい。

四 日本郵便では不祥事が発生した場合、「お客様へおかけした迷惑の度合い」、「社会的な影響の大きさ」を考慮し報道発表を行っているとされるが、「迷惑の度合い」及び「社会的な影響の大きさ」の具体的な基準を示されたい。また、政府において具体的な基準を把握していない場合には、信書を送達することの重要性に鑑み、具体的基準を把握すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 日本郵便における不祥事の発生状況に対する政府の認識を示されたい。また、不祥事の撲滅に向けて政府として何らかの対策を講じる考えがあれば、その具体策を示されたい。

六 信書を送達することの重要性に鑑み、日本郵便を適切に監督するために、政府は不祥事の全件を把握し、公表すべきと考えるがいかがか。

  右質問する。