質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第九三号

もんじゅに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年四月二日

浜田 和幸   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   もんじゅに関する質問主意書

 二〇一二年十一月、保安規定に基づく機器の点検漏れが約一万点あった高速増殖炉「もんじゅ」について、独立行政法人日本原子力研究開発機構は本年三月二十三日、「点検漏れを発生させない体制を再構築した」とする報告書を提出したが、保安検査の結果、液体ナトリウムの流れる原子炉一次冷却系配管の劣化状況の検査や、補機冷却系配管の肉厚検査に不備があったことが判明した。いずれの配管も、原子炉の安全上最も重要な「クラス1」に分類されている。これに関し、以下質問する。

一 もんじゅの総事業費について、関連施設の研究開発費や人件費、固定資産税、準備段階の経費を含めた総額を明らかにされたい。

二 運転開始から二十四年経過しながら目立った成果がない一方、莫大な予算を投じても安全性に対する信頼が得られない現状で、なおも運転再開に向けて取り組むよりも、他の代替エネルギー開発に国家予算を投じた方が現実的と考えるが、政府の見解を示されたい。

三 原子力発電(以下「原発」という。)や再生可能エネルギーなど電源ごとの発電コストを再検証する経済産業省の「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」で、原発の発電コスト計算からもんじゅの技術開発費が除外される見通しとなった。「将来に向けた研究費は今の発電コストに含めるべきではない」との理由だが、ではどの段階で発電コストに含めるのか。もんじゅは資源の少ない我が国が核燃料サイクルを実現する切り札として取り組んできたプラントである。原子力政策のための研究費を発電コストに含めないのであれば、経済産業省が原発の有用性を説く際に多用する発電コストの数字そのものに信用性がないことになる。国民は電源多様化の判断材料として発電コストを正確に知りたいと望んでいると考えるが、政府の見解を示されたい。

四 原発の発電コスト計算では、揚水発電のコストを除外したり、バックエンドコストを過小評価したりするなど、正確性を疑問視する意見が多い。また、ひとたび東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故のような災害が発生すれば、廃炉や除染、損害賠償にかかる費用は莫大なものに跳ね上がる。使用済み核燃料廃棄物処理の問題など、当時は楽観的に見られていた技術開発に目立った進歩が見られず、次世代への負担が明らかな現状において、原子力基本法が成立した一九五五年当時の核燃料サイクルを前提とした原子力政策を見直す時期が来ていると考えるが、日本は米仏など原子力政策を推進する国々と第四世代原子炉として高速炉の研究開発に取り組んでいる。自然災害が多い日本において、一九五五年当時と同様の姿勢で原子力政策を推し進めていくのか否か、政府の見解を示されたい。

  右質問する。