質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第九二号

TPP交渉の情報開示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年四月二日

徳永 エリ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   TPP交渉の情報開示に関する質問主意書

 USTR(米国通商代表部)のウェブサイトには、TPP(環太平洋パートナーシップ)やTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)など米国オバマ政権が進める貿易交渉の際の説明責任や情報公開について書かれている。その中には「国民の代表である国会議員との協働について」という項目が立てられており、その概要は以下の通りである。
「国民の代表である国会議員との協働について
 政府は国民の代表である国会議員と緊密に協力して我々の目指す野心的な貿易協定を追求している。この協力には以下が含まれている。
・全ての国会議員に対して、交渉テキスト全文へのアクセスを提供する。議員は国会の中で都合のよい時にテキストを見ることができる。またしかるべきセキュリティー許可を得た議員のスタッフを伴って閲覧することもできる。
・TPPに関してだけでも千七百回近くの議員へのブリーフィングを持ってきた。また、TTIPやTPA(貿易促進権限)、AGOA(アフリカ成長機会法)その他についてもそれ以上行っている。
・国会議員に対して、交渉テキストのナビゲーションのために、TPP各章の要約版を提供する。
・国会議員に対して、議会の委員会とともに作成した交渉での米国の提案を、交渉のテーブルにつく前に見せる。
・USTRは議会とともに働き、あらゆる段階において議会のフィードバックをもらい、交渉内容を更新していく。」
 さらには、三月十八日、USTRのフロマン代表とルー財務長官が出席した与党・民主党の集会で、新たな措置によって国会議員はTPPの各章の要旨に加え、全文を閲覧できるようになることが明らかにされた。フロマン代表は声明で、「われわれが労働者、企業、農業従事者のために米国にもたらそうと取り組んでいる利点について、議会メンバーが十分理解できるよう、前例のない追加措置をとった」と述べた。
 このように、TPPの交渉内容については守秘義務が課されているにもかかわらず、これまでも米国では一定の条件の中で国会議員がテキストを閲覧することが可能だったが更にその条件を緩和し、全ての国会議員にテキスト全文を見せるようにしたのである。
 これらを受けて、以下の通り、質問する。

一 米国が全ての国会議員にTPPの交渉テキスト全文を見せるようにしたことは、TPP交渉参加国間の守秘義務に関するルールを米国が破ったことになるのではないか。

二 前記一に関して、参加国を平等に拘束する国際協定のルール違反だとすれば、我が国は、今後米国に対して、どのように対応するのか。

三 米国が全ての国会議員にTPPの交渉テキスト全文を見せるのであれば、「守秘義務だから公開できない、漏らすとTPPから退場させられる」という日本政府のこれまでの答弁はもはや通用しないのではないか。我が国も、国民の代表たる国会議員にTPPの交渉テキストを公開すべきではないか。もし公開できないのなら、その理由を示されたい。

四 米国は、「国会議員に対して、議会の委員会とともに作成した交渉での米国の提案を、交渉のテーブルにつく前に見せる」としており、攻めるべきものや守るべきものが国会議員に示されることになる。我が国の国益を守るためにも、日本でも同様の対応が必要と考えるがいかがか。

  右質問する。