質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第八八号

新生児里親委託に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年三月二十七日

西村 まさみ   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   新生児里親委託に関する質問主意書

 我が国では、心中を含む虐待による十八歳未満の子どもの死亡事例は、年間九十人に達し、四日に一人の割合で子どもが命を落としている。特筆すべきは、虐待で死亡する子どもの半数近くが零歳児の赤ちゃんであり、中でも零か月、零日の新生児の死亡数が最も多いという点である。そこで、新生児の命を救うという取組の一つとして、新生児の里親委託に関して、以下質問する。

一 子ども・子育てビジョン(平成二十二年一月閣議決定)において、家庭的養護の推進を図るため、ファミリーホームを含めた里親等委託率を、平成二十六年度までに十六パーセントに引き上げる目標を掲げているが、直近の里親委託率及びそのうちの新生児里親委託率について都道府県別に示されたい。

二 不幸にも性暴力の被害に遭い妊娠してしまった十代の女子、胎児の父親が急に去ってしまった女性などが、誰にも相談できず一人で悩んでいるうちに、妊娠二十二週を過ぎてしまったとすれば、出産する以外に選択肢はなく、産んだ後、殺害に至らなくても、赤ちゃんに愛情が湧かずに心身へ暴力を振るったり、孤立した環境で不適切な育児をしたりするなど虐待につながる危険は大きいと考える。新生児里親委託は、新生児の尊い命が救われると同時に、産みの親である女性にとっては、犯罪者、虐待の加害者にならずに済む、さらには育ての親が子どもを喜んで迎えてくれることを知ることで、自責の念や罪悪感から救われるなどの利点があると考える。新生児里親委託の利点について、政府の見解を明らかにされたい。

三 政府は新生児の里親委託について、施設養護から家庭的な養護の形へ可能な限り移行していくという方針を打ち出している。子どもが安定した関係の中で安心して育つことは、心身の成長にとって大変重要な「愛着形成」という点で重要であり、先進諸国の多くで新生児のうちから家庭的な環境で養護すべきとされている。子どもの権利の保障という視点からも、政府として、新生児里親委託率を高める必要があると考えるが、今後の取組方針について明らかにされたい。また、その具体的な実行の工程を示されたい。

  右質問する。