質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第六七号

旅館業法の規制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年三月五日

中西 健治   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   旅館業法の規制に関する質問主意書

 旅館業法は、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もって公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的(旅館業法第一条)として、旅館業の許可制(同法第三条第一項)、施設の構造設備基準(同法同条第二項)、施設の設置場所(同法同条第三項及び第四項)、施設の衛生措置(同法第四条第一項)に関する規制を定める。
 旅館業法制定当時(昭和二十三年)は、旅行者が少なく、我が国の衛生状態も悪い上、建築物自体の設備・性能も脆弱であったため、これらの規制にも合理性が認められたものと考える。
 しかし、旅館業法制定以来六十余年が経過し、我が国の衛生状態は飛躍的に向上した上、建築基準法等により建築物自体の構造設備基準も厳格化されており、旅館業法に基づく規制の意義は相対的に薄れたと考えられる。
 加えて、政府は、訪日外国人旅行者数を、二〇二〇年に二千万人、二〇三〇年に三千万人超に増加させることを目指しており、既存の宿泊施設だけでは供給が不足する上、現行の旅館業法の厳格な規制では、利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供という旅館業法の目的までをも損なうことが懸念される。
 そのため、旅館業法の規制も、海外における「Airbnb」のようなインターネットを介した個人間の宿泊施設の提供を容易にするような時代に応じた運用又は規制緩和が求められていると考える。
 また、人の移動の増加に伴い、ウィークリーマンション、マンスリーマンションのように、短期間の賃貸借契約も増加傾向にあり、旅館業法に基づく宿泊と短期間の不動産賃貸借の境界も不明確となりつつある。
 さらに、国民体育大会では、昭和三十三年第十三回富山国体以来、宿泊施設の不足を補うため、一般家庭に料金を払って選手等を宿泊させるいわゆる「民泊」が実施されているが、民泊と旅館業法の規制との関係も不明確である。
 そこで、以下質問する。

一 個人間の宿泊施設の提供は、「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たるか。仮に当たるとした場合、いかなる頻度及び態様であることを要するか、政府の見解を明らかにされたい。

二 町屋・古民家における構造設備基準の特例(旅館業法施行規則第五条第一項第五号)のように、個人間の宿泊施設の提供についても、旅館営業の許可基準を緩和する考えはないか、政府の見解を明らかにされたい。

三 定期建物賃貸借契約による建物賃貸借契約(借地借家法第三十八条第一項)は、「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たるか、その理由とともに示されたい。仮に当たるとした場合、当該宿泊施設の衛生上の維持管理責任は、貸主(旅館業営業者)が負担するのか、借主(宿泊者)が負担するのか、政府の見解を明らかにされたい。

四 一時使用目的による建物賃貸借契約(借地借家法第四十条)は、「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たるか、その理由とともに示されたい。仮に当たるとした場合、当該宿泊施設の衛生上の維持管理責任は、貸主(旅館業営業者)が負担するのか、借主(宿泊者)が負担するのか、政府の見解を明らかにされたい。

五 国民体育大会で実施されている、一般家庭に料金を払って選手等を宿泊させる民泊は、「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たるか、その理由とともに示されたい。

六 仮に前記五における民泊が「人を宿泊させる営業」(旅館業法第二条)に当たらない場合、宿泊させる回数・期間・人数において民泊のそれを上回らない限度でなされる個人間の宿泊施設の提供は、「人を宿泊させる営業」に当たらないと解してよいか。

  右質問する。