質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第二八号

福島県「県民健康調査」甲状腺検査で発見された甲状腺がんの治療費に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年二月十二日

中西 健治   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   福島県「県民健康調査」甲状腺検査で発見された甲状腺がんの治療費に関する質問主意書

 福島県では、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故(以下「福島原発事故」という。)による放射線被ばくの影響を調査するため、「県民健康調査」が行われている。
 この県民健康調査の一環として行われている「甲状腺検査」は、福島原発事故当時概ね十八歳以下の子供を対象に、福島原発事故後三年以内の子供の甲状腺の状態を把握する「先行検査」を行った後、平成二十六年四月から「本格検査」を行うものである。
 そして、先行検査では、百九人が「悪性ないし悪性疑い」と診断され、そのうち八十四人が「甲状腺がん」と診断されている。加えて、先行検査では「問題ない」とされた四名が、本格検査では「悪性ないし悪性疑い」と診断されている。
 甲状腺検査の結果、発見された甲状腺がんの治療は、通常の保険診療による自己負担が生じるのが原則であるが、福島県では、平成二十四年十月一日から、福島県に住民登録している十八歳以下の子供に対し、保険診療の自己負担分を助成する事業が行われている。
 ただし、この事業では、十八歳を過ぎた場合、又は、福島県以外で住民登録をした場合には、甲状腺がんの治療であっても助成対象とならず、通常の保険診療による自己負担が生じることとなる。
 この通常の保険診療による自己負担の問題について、平成二十七年二月二日に開催された福島県「県民健康調査」検討委員会第五回「甲状腺検査評価部会」においても、公費負担を求めることで意見が一致している(平成二十七年二月三日付け朝日新聞福島版朝刊)。
 しかし、政府は、平成二十四年一月に「福島県内の十八歳以下の医療費の無料化を断念する方針を固め」ている(平成二十四年一月二十二日付け朝日新聞朝刊)。
 今後、甲状腺検査の結果、甲状腺がんとの診断を受ける者が増加すると予想され、通常の保険診療による自己負担の問題が顕在化することが懸念されるため、以下質問する。

一 平成二十四年一月に断念した「福島県内の十八歳以下の医療費の無料化」を見直す方針はあるか、政府の見解を明らかにされたい。

二 福島県「県民健康調査」甲状腺検査の結果、発見された甲状腺がんの治療費について公費負担を行う方針はあるか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。