質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一七号

正社員に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年二月五日

真山 勇一   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   正社員に関する質問主意書

 安倍政権では多様で柔軟な働き方の実現のための規制改革を進めるとともに、女性の活躍推進、そのためのワークライフバランスの抜本的変革に向けて、ジョブ型正社員、短時間正社員など「多様な正社員」の普及・拡大に取り組んでいる。
 厚生労働省は平成二十五年九月に「「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会」を設置し、「多様な正社員」の雇用管理をめぐる課題等について検討を重ね、平成二十六年七月に、労使等の関係者が参照することができる「雇用管理上の留意事項」や就業規則の規定例を盛り込んだ報告書をとりまとめ公表したところである。
 多様な正社員の普及・拡大に当たっては、いわゆるこれまでの「無限定正社員」と「多様な正社員」の間の均衡処遇の在り方が問題の一つとなってくる。同一労働・同一賃金を実現することこそが、「多様な正社員」の普及・拡大への近道だと考えられる。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 1 政府においては、非正規雇用の実態をより的確に捉えるため、雇用統計等における労働者の区分について見直しを行っていると承知しているが、いわゆる正社員の区分の見直しは検討しているのか。
 現在、正社員の定義は、各種調査や報告書等において個別に定められており、期間の定めのない雇用契約を条件とするもの、一年以上の雇用契約を条件としているもの、四か月以上の雇用契約を条件としているものと様々である。各種統計調査等における「正社員」の用語の定義を統一する必要性(及び法律により定義する必要性)を政府としてどのように認識しているのか明らかにされたい。
2 政府は、非正規労働者の正社員転換や処遇改善に取り組んでいると承知しているが、正社員について、労働契約が無期であることの他に満たされるべき条件はあるのか。政府が言うところの正社員の定義を示されたい。
3 正社員で採用されたはずが、試用期間中は有期労働契約であるとする企業や、賃金、残業時間、休日等の労働条件の実態が、求人票で示された内容と違うケースがあることが指摘されている。こうした状況の実態把握及び違反企業への指導監督は十分行われているのか、政府の見解を示されたい。
 また、正社員の呼称を隠れみのとして労働者を使い捨てにする、いわゆるブラック企業について、若者雇用対策に関する法案の提出も検討していると承知している。若者雇用対策の必要性もさることながら、長時間労働の是正等、労働者全体に係る基本的な労働環境改善が重要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 「無限定正社員」と「多様な正社員」の間の処遇格差について、「雇用管理上の留意事項」では、均衡処遇について、企業の人事政策に当たること、何をもって不合理とするかの判断が難しいこと、企業ごとに労使で十分に話し合って納得性のある水準とすることが望ましいこと等が指摘されているが、均衡処遇の実現のための取組の更なる推進のため、法的措置を含めた検討を行う必要があるのではないか、政府の見解及び実現に向けた具体的取組を明らかにされたい。

  右質問する。