質問主意書

第189回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇号

産科医療補償制度の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年一月三十日

糸数 慶子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   産科医療補償制度の見直しに関する質問主意書

 我が国の産科医療補償制度は平成二十一年一月に発足した。その後、ほぼ全ての分娩機関が加入するなど制度として定着してきた一方で、多額の剰余金の存在が判明するなど課題も浮き彫りとなった。先般、制度発足から五年の経過を受け見直し作業がなされた結果、平成二十七年一月から対象を拡大する方向で補償対象基準が変更され、保険料の引下げもなされた。そこで、今回の制度見直しの経緯等について、私が平成二十一年三月三十日に提出した「産科医療補償制度に関する質問主意書」(第百七十一回国会質問第九三号)に対する答弁書(内閣参質一七一第九三号。以下「答弁書」という。)も踏まえ、以下質問する。

一 産科・産婦人科の医師数について

 産科医療補償制度では、産科医不足の改善が目的の一つとされた。「医師・歯科医師・薬剤師調査」により産科・産婦人科の医師数の推移を確認すると、平成十八年を底として回復傾向にあるが、産科・産婦人科の医師数の現状を示すとともにその評価について、政府の見解を明らかにされたい。

二 多額の剰余金が発生した理由について

 政府は、答弁書において「制度運営に要する事務経費を勘案すると、大幅な剰余金は生じない」としていたが、実際には当初の懸念どおり多額の剰余金が発生した。最新の剰余金の総額及び多額の剰余金が発生した要因について、政府の見解を明らかにされたい。

三 今回の補償対象基準見直しの根拠について

 今回の補償対象基準の見直しにより、平成二十七年一月から在胎週数が三十二週以上、出生体重が千四百グラム以上の新生児が補償の対象となった。この三十二週及び千四百グラムという基準の根拠を示されたい。

四 今回の保険料見直しの根拠について

 今回の制度の見直しにより、平成二十七年一月から保険料が一万六千円に引き下げられた。この一万六千円という金額の根拠を示されたい。

五 出産育児一時金の根拠について

 今回の保険料見直しの一方で、出産育児一時金は保険料引下げ前の四十二万円のまま据置きとされた。据置きとする理由を示されたい。

六 制度の見直しに五年を要した理由について

 政府は、補償対象の拡大を含む産科医療補償制度の在り方について、答弁書で「必要に応じ、五年の経過を待つことなく見直しが行われることもあると考える」としながらも、結局は平成二十七年一月からの見直しとなった。より早期に補償対象の拡大等を実施する必要があったと考えられるが、制度の見直しにこれだけの時間を要した理由を示されたい。

  右質問する。