質問主意書

第188回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質一八八第一〇号
  平成二十七年一月九日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員川田龍平君提出アベノミクスの失政と中小企業の信用保証に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出アベノミクスの失政と中小企業の信用保証に関する質問に対する答弁書

一について

 金融庁及び中小企業庁が定めている「信用保証協会向けの総合的な監督指針」においては、金融庁が定めている「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等において示された銀行等の監督上の留意点のうち、信用保証協会にも当てはまるものについては、これを適宜参照する旨記載している。
 「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等に延滞債権の回収(担保処分及び個人保証の履行請求によるものを含む。)等の際の留意点が定められており、信用保証協会による代位弁済後の求償権の行使による債権の回収については、これを参照することとしている。

二について

 中小企業者が債務者となる金銭消費貸借契約において、当該中小企業者の経営に関与していない第三者が、個人的関係等により、やむを得ず保証人となり、かつ、その後の当該中小企業者の経営状況の悪化などによる当該債務の不履行の結果、保証人となった当該第三者が重い負担を強いられることが社会的に大きな問題とされていたことから、各地の信用保証協会では、平成十八年度以降に信用保証が申し込まれた案件について、経営者本人以外の第三者を保証人として求めることは、原則として行われていない。

三及び四について

 二についてで述べたとおり、各地の信用保証協会では、平成十八年度以降に信用保証が申し込まれた案件について、経営者本人以外の第三者を保証人として求めることは、原則として行われていないが、既に成立している金銭消費貸借契約において債務者の信用力を補完するために設定された保証人に対して、当該契約後に、保証人としての債務の履行が免責されることは、政府としては適当ではないと認識している。

五について

 物上保証については、平成十八年当時、二についてで述べた経営者本人以外の第三者を保証人として求めることとは異なり、社会的に大きな問題とされていない状況であった上、中小企業者の資金調達の円滑化の観点から、中小企業者の金銭消費貸借契約において債務者の信用力を補完するために必要な場合があり、各地の信用保証協会では、従来どおりの取扱いが行われてきたものと認識している。

六及び七について

 お尋ねの物上保証として供される財産の種類については、各地の信用保証協会において必ずしも記録がないことなどから、お答えすることは困難である。
 また、五についてで述べたように、中小企業者の金銭消費貸借契約において債務者の信用力を補完するために物上保証として不動産を担保に供することは、中小企業者の資金調達の円滑化の観点から行われているものと認識している。各地の信用保証協会では、既に代位弁済を行った債権について、中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第七条における「中小企業者に代わつて弁済をした場合には、その求償に努めなければならない」との規定に従って、求償権の行使による物上保証人を含む債務者からの債権の回収を適切に実施しているものと認識している。

八について

 既に成立している金銭消費貸借契約において債務者の信用力を補完するために設定された物上保証人に対して、当該契約後に、物上保証人としての債務の履行が免責されることは、政府としては適当ではないと認識している。

九について

 身元保証ニ関スル法律(昭和八年法律第四十二号)第一条本文において期間の定めのない身元保証契約はその成立の日から三年間に限り効力を有することとされているのは、その効力の期間が無制限であることにより身元保証人が過度な責任を負うことを防止する趣旨であると理解している。

十について

 身元保証ニ関スル法律第一条本文によれば、身元保証とは、被用者の行為によって使用者が受ける損害の賠償を保証することである。これに対して、物上保証とは、他人の債務のために自己の所有する財産を担保に供することであり、その責任は担保に供した財産の範囲に限られるものであることから、両者の概念は異なる。
 なお、物上保証のうち、根抵当権については、元本確定期日を定めなかった場合における元本の確定請求についての規定が設けられているなど、その責任の範囲を限定することができることとされている。

十一について

 海外主要国におけるお尋ねの「身元保証と物上保証についての規制の均衡」に関しては、必ずしも十分に把握していないが、例えば、フランス及びドイツにおいては、身元保証については特別な法制度は存在しないものと承知している。