質問主意書

第188回国会(特別会)

質問主意書


質問第一五号

安倍内閣の参議院憲法審査会附帯決議違反による憲法第九条解釈変更の強行の更なる追及に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十二月二十六日

小西 洋之   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安倍内閣の参議院憲法審査会附帯決議違反による憲法第九条解釈変更の強行の更なる追及に関する質問主意書

一 第百八十七回国会提出の「安倍内閣の参議院憲法審査会附帯決議違反による憲法第九条解釈変更の強行に関する質問主意書」(第百八十七回国会質問第一〇四号)に対する答弁書(内閣参質一八七第一〇四号。以下「答弁書」という。)において、政府は、「政府としては、従来より、国会における附帯決議については、その趣旨を尊重している。」とのみ答弁を行っている。
 答弁書において政府が「尊重している」としている参議院憲法審査会における「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成二十六年六月十一日。以下「本附帯決議」という。)の第六項である「本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。」の「趣旨」について、具体的かつ網羅的に答弁されたい。
 なお、私は参議院憲法審査会幹事として本附帯決議の起草を行い与党との協議において当該条項等を確定した者であるところ、当該条項の「憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法解釈を変更しようとするときは、(中略)国会での審議を十分に踏まえること」との規定は、「憲法とは主権者国民のみがその内容を確定することができるが故の最高法規であり、かつ、内閣によるその運用解釈は当該主権者国民の代表機関としての国権の最高機関である国会の監督に服するものであり、従って、内閣が、解釈変更に係る閣議決定を行おうとする際には、事前に国会における十分な審議を受けなければならない」ことを意味することを付言する。

二 本附帯決議においては、「六 本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。」とされ、同年六月十三日には集団的自衛権の行使容認のための憲法第九条の解釈変更を閣議決定により強行しようとする第二次安倍内閣に対し当該附帯決議の遵守を求める「参議院憲法審査会附帯決議と集団的自衛権行使の解釈変更に関する質問主意書」(第百八十六回国会質問第一三二号)が提出されているにもかかわらず、第二次安倍内閣は同年七月一日に一度も事前に国会において憲法第九条の解釈変更案そのものについて審議を受けることなく、密室の与党協議と内閣法制局の僅か一日にも満たない審査により憲法第九条の解釈変更を強行しており、第二次安倍内閣において、本附帯決議に違反したことは、義務教育で国語を習っている児童生徒でも容易に理解できるような明々白々な暴挙である。
 このように本附帯決議第六項の規定に反し憲法第九条の解釈変更を閣議決定のみによって強行した第二次安倍内閣は、本附帯決議に違反し、国権の最高機関である立法府を否定し、さらには国会議員を選出する主権者である国民を否定する暴挙を犯したものとの認識はあるか。

三 安倍総理はその著書である「新しい国へ(副題「美しい国へ 完全版」)」において、「初当選して以来、わたしは、つねに「闘う政治家」でありたいと願っている。」と記しているが、国権の最高機関である立法府の附帯決議において憲法第九条の解釈変更を行う際にはその解釈変更案そのものについての事前の国会審議を求められ、かつ、その遵守を質問主意書で重ねて求められているのに、それらを完全に無視し、閣議決定のみで当該解釈変更を強行したことは、立法府及び主権者である国民に対しこの上なく不誠実であり恥ずべき「闘わない政治家そのもの」というべき行為ではないのか、安倍総理に見解を確認し、政府として答弁されたい。

四 本附帯決議可決の際に、「ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。」と発言した新藤総務大臣及び「ただいま可決されました日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。」と発言した谷垣法務大臣は、参議院憲法審査会において虚偽の発言をしたこととなると解してよいか。

  右質問する。