質問主意書

第188回国会(特別会)

質問主意書


質問第一一号

年金積立金管理運用独立行政法人における年金積立金の運用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十二月二十四日

藤田 幸久   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   年金積立金管理運用独立行政法人における年金積立金の運用に関する質問主意書

 年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)の平成二十六年度第二・四半期末運用資産額は百三十兆円に上り、GPIFは世界最大規模の年金基金と言われている。しかし、平成二十六年一月のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)での安倍総理の発言や同年十月に発表された基本ポートフォリオの変更に関し、GPIFの運用に対する懸念の声も少なくない。そこで、GPIFにおける運用に関し、以下質問する。

一 GPIFは基本ポートフォリオの見直しに際し、「年金積立金管理運用独立行政法人 中期計画の変更について」(平成二十六年十月三十一日)という資料を公表した。同資料では、「積立金見込み」として、GPIFの変更後の基本ポートフォリオと全額国債で運用した場合のシミュレーション結果がそれぞれ示されている。
 一方で、GPIF、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会の基本ポートフォリオを比較すると、大きな違いがある。
 そこで、①平成二十六年十月三十一日変更前のGPIF(国内債券六十パーセント、国内株式十二パーセント、外国債券十一パーセント、外国株式十二パーセント、短期資産等五パーセント)、現時点における②国家公務員共済組合連合会(国内債券七十四パーセント、国内株式八パーセント、外国債券二パーセント、外国株式八パーセント、短期資産等八パーセント)、③地方公務員共済組合連合会(国内債券六十四パーセント、国内株式十四パーセント、外国債券十パーセント、外国株式十一パーセント、短期資産等一パーセント)それぞれの基本ポートフォリオにおける比率でGPIFの積立金の運用を行うことを想定した場合、どのような結果になるのかそれぞれ示されたい。
 併せて、①から③それぞれの場合において、平成二十六年財政検証(国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し)で目標とされる実質的な利回り一・七パーセントを達成することはできないのか、政府の見解を示されたい。

二 平成二十七年十月には被用者年金一元化を控えており、一元化後は厚生年金、共済年金に共通するモデルポートフォリオにより年金積立金が運用されることとなる。GPIFの基本ポートフォリオを基にモデルポートフォリオが策定されることを踏まえれば、共済年金の基本ポートフォリオが現在のGPIFの基本ポートフォリオに接近していくことになるのか、政府の見解を示されたい。

三 安倍総理は平成二十六年一月のダボス会議において、GPIFは成長につながる投資を行う旨発言した。しかし、将来の年金支給の原資である積立金をリスクにさらすことは決してあってはならない。安倍総理の発言は本来の年金積立金運用の目的から逸脱しているのではないか、政府の見解を示されたい。併せて、GPIFが今後成長につながる投資に積極的に運用を行っていく方針なのか、政府の見解を示されたい。

四 アメリカにおける公的年金の年金積立金である社会保障信託基金については、平成二十五年十二月末現在の資産残高は約二百九十一兆円であり、その規模の大きさからも市場への影響や政治的圧力を排除するべく、全額債券運用されていると聞いている。この点について、塩崎厚生労働大臣は、平成二十六年十月三十日の衆議院予算委員会において、民主党の細野議員の質疑に対し、「アメリカは国債で全て運用しているというのは全くの間違いです。これは、ペイ・アズ・ユー・ゴーで、言ってみれば交付国債みたいなもので、ペイロールタックスというので入ってきた税収をそのまま年金に渡しています。いわゆる国債に運用するというような、GPIFがやっているようなことは一切やっていませんから、全く間違っているということを国民の皆様方も知っていただきたいと思うんです。」と答弁している。しかし、同様の点について田村前厚生労働大臣は、平成二十五年十一月二十七日の衆議院厚生労働委員会において、民主党の長妻議員の質疑に対し、「公的年金というものに着目すれば、アメリカは百パーセント国債で運用しています。」と答弁している。アメリカにおける公的年金の年金積立金の運用に関する塩崎厚生労働大臣と田村前厚生労働大臣の答弁に齟齬が生じた理由について、政府の見解を示されたい。

  右質問する。