質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇六号

内閣参質一八七第一〇六号
  平成二十六年十一月二十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員小西洋之君提出失語症と障害年金制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出失語症と障害年金制度に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの障害年金制度の趣旨は、被保険者が、障害によって、日常生活に支障や著しい制限が加えられ、又は当該被保険者の労働が著しい制限を受けることで、稼得能力が喪失又は減退した場合に、当該被保険者の生活の安定が損なわれることを防止するものである。

二について

 障害年金制度における障害の状態の基本となる考え方については、次のとおりである。国民年金については、日常生活の制限の程度を基準として、被保険者の身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度である場合を一級とし、被保険者の身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度である場合を二級として定められているものである。また、厚生年金保険については、日常生活の制限の程度を基準として、被保険者の身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度である場合を一級とし、被保険者の身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度である場合を二級として定められているものである。さらに、労働能力の制限の程度を基準として、被保険者の労働が著しい制限を受けるか若しくは被保険者の労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害の状態である場合又は傷病が治らないものであって、被保険者の労働が制限を受けるか若しくは被保険者の労働に制限を加えることを必要とする程度の障害の状態である場合を三級とし、傷病が治ったものであって、被保険者の労働が制限を受けるか又は被保険者の労働に制限を加えることを必要とする程度の障害の状態である場合を障害手当金相当として定められているものである。具体的な障害の状態は、国民年金法施行令(昭和三十四年政令第百八十四号)別表及び厚生年金保険法施行令(昭和二十九年政令第百十号)別表第一及び第二並びに「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(昭和六十一年三月三十一日付け庁保発第十五号社会保険庁年金保険部長通知別添)で定めているとおりである。
 お尋ねの失語症については、国民年金の被保険者が音声又は言語機能に著しい障害を有する場合には国民年金法施行令別表二級の項第五号に定める障害の状態に該当するため、障害の程度は二級である。また、厚生年金保険の被保険者が、音声又は言語機能に著しい障害を有する場合には同号に定める障害の状態に該当するため、障害の程度は二級であり、言語の機能に相当程度の障害を残す場合には厚生年金保険法施行令別表第一第三号に定める障害の状態に該当するため、障害の程度は三級であり、言語の機能に障害を残す場合には同令別表第二第七号に定める障害の状態に該当するため、障害の程度は障害手当金相当である。なお、本年開催した「障害年金の認定(言語機能の障害)に関する専門家会合」(以下「専門家会合」という。)においては、最も重度の失語症の単独での障害の程度は、他人とのコミュニケーションをとることは難しいが、必要最小限の身の回りのことは行うことができると考えられることなどから、二級が妥当であり、他に肢体や精神の障害があるような場合は、これらの障害と併合して一級になる場合もあるとの議論がされたところである。

三及び四について

 御指摘の専門家会合の議事録の公開については、構成員の確認及び了承を得た後、速やかに厚生労働省ホームページにて公開を行っており、「不当に時間がかかる」との御指摘は当たらないと考えている。また、第四回専門家会合の議事録については、公開日は未定であるが、構成員の確認及び了承を得た後、速やかに同ホームページにて公開する予定である。