質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇三号

内閣参質一八七第一〇三号
  平成二十六年十一月二十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員小西洋之君提出憲法解釈と国政選挙の関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出憲法解釈と国政選挙の関係に関する質問に対する答弁書

一について

 憲法は、国家の統治の基本を定めた法であるところ、国の在り方や理想を示すものでもあると考えているが、立憲主義とは、主権者たる国民が、その意思に基づき、憲法において国家権力の行使の在り方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するという近代憲法の基本となる考え方であり、法の支配とは、人権の保障と恣意的権力の抑制とを主旨として、全ての権力に対する法の優越を認める考え方であって、日本国憲法もこれらの立憲主義や法の支配と同様の考え方に立って制定されたものと考えている。

二から四までについて

 一般論として、憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられるが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものである。
 いずれにせよ、法令の解釈は、論理的になされるべきものであり、論理を離れて、「国政選挙の結果」によって左右されるというものではない。
 また、御指摘の平成二十六年二月十二日の衆議院予算委員会における安倍内閣総理大臣の答弁は、行政府としての憲法解釈については、これに最終的に責任を負う内閣を代表して、内閣総理大臣が責任を持って答弁している旨を説明したものであり、「「時の総理大臣が恣意的かつ意図的な憲法解釈の変更を強行しても、後の国政選挙で正当化されうる」という立憲主義及び法の支配に反する見解」との御指摘は当たらない。