質問主意書

第187回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九三号

内閣参質一八七第九三号
  平成二十六年十一月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故による、福島県以外の放射性物質汚染地域の健康調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故による、福島県以外の放射性物質汚染地域の健康調査に関する質問に対する答弁書

一について

 「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下「専門家会議」という。)においては、御指摘の「福島県以外の「汚染状況重点調査地域」」が所在する福島県の近隣県についても、現時点で得られるデータや国際機関の報告書を踏まえて議論を行っており、「十分な議論がなされていない」との御指摘は当たらないものと考えている。特に、第十一回及び第十二回専門家会議では、福島県の近隣県における被ばく線量や健康管理の在り方が重要な論点の一つとして議論されたところである。

二について

 専門家会議においては、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故(以下「事故」という。)後の住民の健康管理の在り方について可能な限り早期に専門的な助言を行う観点から、世界保健機関や原子放射線の影響に関する国連科学委員会といった国際機関による評価、福島県や同県の近隣県が開催する有識者会議での検討内容等を可能な限り活用し、科学的な議論を行っているため、「十分な情報に基づいて検証しているとは言えない」との御指摘は当たらないものと考えている。
 また、政府としては、御指摘の専門家意見聴取での提言もあるが、事故の放射線による健康影響に関するデータの収集や評価を継続することが、まずは重要と考えている。

三及び四について

 専門家会議においては、事故後の健康管理に対する今後の施策の在り方について、現在検討しているところである。御指摘の「放射性物質汚染地域」の意味するところが必ずしも明らかではないが、福島県の近隣県における健康調査の実施については、専門家会議における検討を踏まえ、必要な対策を講じてまいりたい。

五について

 お尋ねの理由については、承知していない。

六について

 平成二十六年八月十七日及び十八日付けの政府広報においては、「一〇〇ミリシーベルト以下の被ばく量ではがんの増加は確認されていないことから、甲状腺がんは増えないと考えられます。」と記述されており、これは国際機関である国際放射線防護委員会及び原子放射線の影響に関する国連科学委員会の見解と齟齬がないものと認識している。
 なお、御指摘の「遺伝的影響」については、公益財団法人放射線影響研究所のホームページにおいて、今後の追跡調査が必要であると記載されているが、現在までの調査結果については「これまでのところ原爆被爆者の子供に臨床的または潜在的な影響を生じたという証拠は得られていない」と記載されていると承知している。

七について

 バロノフ氏には、国際的にも高い評価を得ている外部の有識者として、その科学的知見に基づき、メッセージを寄稿いただいており、政府の正式見解とするものではない。